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注文住宅は“今”だけじゃない。老後まで快適に暮らすための間取りと性能

新潟日報sumica編集部

注文住宅を建てるときは、多くの方が“今の暮らし”を基準に間取りや設備を考えます。

しかし40年、50年の住宅ローンでマネープランを考えるように、住宅も長きにわたって住み続ける“終の棲家”になることを前提に、プランを考えなければなりません。

特に新潟のような雪国では、家の性能や動線、メンテナンス性などが老後の暮らしの質を大きく左右します。

そこで今回のコラムでは、老後まで快適に暮らすための間取りと性能のアイデアを紹介します。

これから注文住宅を建てる方は、ぜひ参考にしてください。 

老後の暮らしで困りがちなポイント

(株)星野工務店「ナチュラル」より

暑い夏の時期に冬の寒い暮らしが想像し難いように、若いときには高齢になってからの家の中での困りごとははなかなか思いつかないもの。

しかし快適な暮らしを続けるためには、老後の暮らしを見据えて、先回りしたプランを考えておくことが大切です。

まずは老後の戸建住宅暮らしでよくある悩みと、困りがちなポイントを見てみましょう。

●寒暖差によるヒートショック 
●階段の上り下り 
●雪下ろしや除雪 
●日々掃除やメンテナンス 
●防犯、防災

これらの問題をあらかじめ把握して新築時に意識しておけば、リフォーム費用や暮らしのストレスを大きく軽減できるはずです。

具体的に何を意識するのかは、次章で説明します。

老後を見据えた間取りの工夫

LOCAL LIFE STANDARD/(株)池田組「田園風景の移ろいを楽しむ、のびやかな住まい」より

ライフスタイルが変わったときにはリフォームで間取りを大きく変えることもできますが、大がかりな工事は仮住まいが必要になるため、費用も手間もかかります。

必要最低限のリフォームで済ませるためには、新築時に可変性のある間取りを意識するのがポイントです。

回遊動線を取り入れる

「回遊動線」とは、住宅内をぐるぐると回れる動線のことです。

この動線を取り入れれば家の中での移動距離が短くなるため、生活や家事を効率化できます。

回遊動線を取り入れた家は家事効率がぐっとよくなるのが魅力ですが、足腰が弱くなりやすい老後も負担が少なく過ごせるというメリットもあります。

さらに通路幅を広く取っておけば、車椅子での移動もスムーズです。

注文住宅では、玄関から直接パントリーやキッチンにアクセスできる動線や、洗面脱衣室、浴室、ランドリースペース、クローゼットなどを結ぶ動線がとくに人気を集めています。

ライフスタイルの変化を意識する

20年、30年と住み続けていると、お子さんの誕生、巣立ち、定年と、ライフスタイルは大きく変わり、それと同時に“家の使い方”も変わっていくものです。

特にお子さんの独立後は2階を使わなくなるケースが多いので、持て余さないように、可変性のある間取りにすることが大切です。

たとえば子ども部屋は将来的に夫婦それぞれの寝室として使用する、または書斎として使うなど、将来的な使い方も想定しながら広さや配置を考えましょう。

設備類や収納は1階を中心に計画する

高齢になると階段の上り下りが辛くなることが多く、「2階はまったく使っていない」という人も少なくありません。

しかしその場合、寝室や水まわり設備、収納スペースなどが1階と2階で分かれていると、間取り変更をともなうリフォームが必要になります。

もし2階建ての家にするのなら、初めから1階に生活の中心を集約しておく“1階完結型”の間取りにするのが理想です。

もし土地の広さに余裕があるのなら、平屋にするのもよいでしょう。

将来的にワンフロアでの暮らしができるような間取りを考えてみてください。

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老後も安心・快適に暮らせる住宅性能

(株)ナレッジライフ「お気に入りの道具たちと永く住み継ぐ平屋の家」より

間取りの工夫だけではなく、住宅性能も老後の暮らしに大きく影響します。

特に冬に厳しい寒さや大雪が続く新潟では、気候特性を踏まえたプランが重要です。

高気密高断熱住宅にする

高齢になると、部屋の温度差による「ヒートショック」のリスクが高まります。

冬に暖かいリビングから寒い廊下や洗面脱衣室へと移動したときなどに、急激な温度変化によって血圧が大きく変動し、心筋梗塞や脳卒中などを引き起こすのです。

このような健康被害を防ぐためには、住宅の高気密・高断熱化によって家の中の温度をできるだけ均一に保つことが重要です。

高気密高断熱住宅にすれば外気の影響も受けづらくなるため、“夏は涼しく、冬は暖かい家”として、1年とおして快適かつ安全に暮らせます。

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掃除とメンテナンスがしやすい素材を選ぶ

若いときには何の負担も感じずにできていた掃除も、年を重ねるに連れてだんだんと負担になってしまうものです。 
特に高い場所や狭い場所での掃除は負担になりやすく、浴室掃除は転倒のリスクも伴います。

掃除の負担とケガのリスクを軽減するためには、汚れにくく、さっと拭くだけできれいになる素材や、メンテナンスのしやすい設備を選ぶのがポイントです。

雪下ろしの負担が少ない屋根材と屋根形状にする

冬に大雪になる日が多い新潟では、雪下ろしや除雪が負担になりがちです。

これを軽減するには、雪が滑りやすく自然落雪によって雪下ろしの負担の少ない、軽量な金属屋根を選ぶのが効果的です。

屋根の形状については、片流れ屋根や切妻屋根のように、雪が一方向に落ちるものを選ぶのがポイント。

雪が積もりにくくなるので、雪の重量による建物への負担も軽減できます。

さらに軒を深くすれば、建物周辺に落雪しなくなるため、除雪作業の負担も軽減できるでしょう。

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老後を見据えた家づくりで住宅会社を選ぶポイント

(株)瀬賀工務店「2回目の新築。1軒目での気づきを生かして理想の家づくり」より

老後まで快適に暮らせる家を建てるためには、住宅会社選びが重要です。

新潟の気候や地域特性を理解し、将来を見据えた提案ができる会社を選びましょう。

自由設計に対応しているか

ここまで説明してきたように、老後を見据えた間取りや設備を実現するにはさまざまな工夫が求められます。

しかしハウスメーカーではあらかじめ決められた間取りを基に仕様を決めていく「規格型住宅」が増えており、細やかな変更に対応できないかもしれません。

規格住宅は初期費用を抑えられる点がメリットではありますが、間取りや仕様に柔軟に対応してもらいたいのなら、自由設計ができる住宅会社に相談しましょう。

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地域に密着しているか

雪への備えや気候風土に合わせた気密・断熱設計の提案を受けるには、新潟の地域特性の理解が欠かせません。

点検・メンテナンスなどをスムーズに対応してもらうためにも、地域密着型の住宅会社を選ぶと安心です。

“建てたら終わり”ではなく、長きにわたって付き合える会社を探しましょう。

平屋の実績があるか

家の中での動線や老後の暮らしを考えるなかで、「やっぱり平屋を建てたい」と考える方も少なくありません。

平屋といえば広い土地が必要になるイメージがありますが、コンパクトな平屋なら、60坪前後の土地にも建てられます。

平屋か2階建てかで悩んでいる人は、平屋の実績が多い住宅会社に相談して、どちらのプランの提案も受けるとよいでしょう。

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まとめ

(株)スウェーデンハウス「平屋スタイル~Bjork(ビヨルク)~」より

これから注文住宅を建てるのなら、今の生活だけではなく、老後の暮らしも見据えた家づくりが大切です。

今回説明したようなポイントを意識しながら、間取りや性能を考えてみてください。

そして快適に暮らせる家を建てるために何よりも大切なのは、一緒に家づくりを進めていく住宅会社選びです。

新潟の気候風土を理解し、できれば自由設計に対応している会社を選びましょう。

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(監修/(株)新潟家守舎)