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注文住宅で後悔しない!日当たりの考え方と間取りの工夫

新潟日報sumica編集部

注文住宅を建てるときに特に意識したいのが、「日当たり」です。

日当たりのよさは土地の条件や建物の形状、間取り、窓の位置・形状などのさまざまな要因によって変わるため、設計段階からしっかりと考えておくことが大切です。

特に国内でも日照時間が短く曇りの日が多い新潟では、採光計画が家の快適性を大きく左右します。

そこで今回のコラムでは、家を建てる前に知っておきたい“日当たりの基本”を説明します。

設計や間取りで光を取り込む工夫などもお伝えしますので、ぜひ参考にしてください。

南向き一択じゃない!方角ごとの日当たりの特徴

LOCAL LIFE STANDARD/(株)池田組「約20坪に建つ、5人家族のシンプルな住まい」より

間取りでは「日当たりを考えるのなら、南向き一択」と、思われがちですが、方角ごとにメリットとデメリットがあります。

本当の意味で“日当たりのいい家”をつくるためには、方角ごとの日当たりの特徴を知り、適材適所で配置を考えていくことが大切です。

南向きの部屋

南向きの部屋は日当たりがよく、日中を通して安定した採光が期待できます。

そのため注文住宅の間取りを考えるときには、リビングやダイニングを南側に配置し、そこを中心にプランを決めていくことがほとんどです。

上記表でも挙げたように、南向きの部屋は冬場でも室内が暖かくなりやすい点がメリットですが、その一方で、夏は日差しが強くなりすぎるというデメリットがあります。

1年通して過ごしやすくするためには、直射日光を防ぐためには軒や庇(ひさし)の出幅を伸ばしたり、窓の形状や位置を調整したりするなど、プラン面での工夫が必要です。

東向きの部屋

東向きの部屋は朝のやわらかな光が差し込むため、主寝室や子ども部屋におすすめです。

朝の光は紫外線が比較的弱いので、レースやカーテンを開けておいて、朝の光で自然と目覚めるという生活リズムをつくることもできます。

ただし午後からは日光が当たらなくなるので、冬場は昼過ぎから暗くなり、室温も下がりがちです。

照明の色や明るさを調整できるシーリングライトや、暖房器具などを使って、明るさと温度の対策も考えておきましょう。

西向きの部屋

午後から日が入る西向きの部屋は、西日による暑さやまぶしさが課題です。

とくに夏場の西日はとても強く室内が暑くなりやすいため、遮熱ガラスやブラインド、植栽による日差し対策が欠かせません。

しかしこの“夕方まで明るい”というメリットをいかせば、西側の部屋もしっかりと活用できます。

たとえばランドリースペースを西側にすれば洗濯物が午後でも乾きやすく、西側リビングは日が沈むまで部屋が明るいので、帰宅時間が遅い共働き家庭などにおすすめです。

実際に家族で夕食をゆっくりとる文化が根付いているヨーロッパでは、美しい夕日を眺めながら過ごせる西側リビングが好まれる傾向があります。

北向きの部屋

一般的には「日当たりが悪い」と言われる北向きの部屋は、直射日光は当たらないものの、拡散された間接光(北天光)を時間や季節にとらわれることなく取り入れられます。

照明計画や窓の配置次第で、日が沈むまで安定した明るさを保てるのが魅力です。

おこもり気分で過ごしたい書斎や集中力を高めたいワークスペース、衣類や備蓄品をしまっておく収納スペースなどを配置するのがおすすめです。

ただし湿気がこもりやすく結露が起こりやすいので、湿気対策が欠かせません。

住宅のプランで“日当たりのいい家”にする方法

(株)ナレッジライフ「古き良きものを大切に 里山暮らしをたのしむ家」より

注文住宅ならではの強みは、敷地条件や部屋の方角に合わせて、自由にプランを考えられることです。

たとえ理想通りの方角でなくても、アイデアしだいで日当たりのよい空間をつくれます。

建物を隣家と離す、または中庭をつくる

採光をしっかりと確保するためには、建物の配置がとても重要です。

敷地条件によって限度はあるかもしれませんが、できるだけ隣家との距離を取れるように配置を考えましょう。

狭小地や住宅密集地などで十分な距離を取るのが難しいときには、ロの字型やコの字型のコートハウスにするなど建物の形状で採光とプライバシーを確保するのがおすすめです。

ただし中庭は排水計画や雪の処理方法が課題となり、複雑な形状になるほど建築費も高くなるので、予算に合わせて調整しましょう。

吹き抜け+ハイサイドライトを設ける

渡邉大工「縦長の敷地に、光とぬくもりが通う家」より

日当たりのいいLDKをつくりたいのなら、吹き抜けとハイサイドライト(=壁の高い位置に設ける窓)の組み合わせがおすすめです。

新潟のように冬の太陽高度が低い地域でも、高い位置から日光を取り込めば、部屋の奥の方まで光を届けることができます

ただし吹き抜けをつくると冬の暖房効率が悪くなってしまうので、高気密高断熱にするなど、住宅性能も高める必要があります。

部屋の使い方に合わせて配置を決める

前章で説明したように、方角ごとにメリットもあればデメリットもあります。

日当たりのいい家をつくるためには、それぞれの特徴と自分たちのライフスタイルを踏まえたうえで、プランを考えることが大切です。

方角の特徴で説明したように、南向きリビングがすべての家庭にとって最適とは限らず、家で過ごす時間帯によっては南西または西側リビングのほうが心地よく過ごせるケースもあるでしょう。

家族のライフスタイルや部屋の使い方をベースにプランを考えることで、日当たりのよさを最大限にいかした家づくりが実現できます

日当たりのいい家にするためには、土地選びが重要!

(有)梅澤建築「憧れの平屋に夢を凝縮 ビルダーの技術と信頼関係が結晶化した家」より

注文住宅は建物の形状や間取りによって、方角ごとの特徴をいかせるのが魅力です。

しかし敷地の条件が悪ければ、日当たりのいい家を実現することが難しいケースも出てきます。

日当たりのよさを大切にしたいのなら、やはり土地選びが重要です。

土地選びでは南向き道路の土地や角地がよいとされていますが、方角だけではなく、周辺環境も含めてさまざまな観点から判断しなくてはなりません

南向きの土地を購入したものの、「向かいの建物の影になっていて日が当たらない…」「道路の人通りが多くてリビングにするには抵抗がある」という事例もあります。

このようなリスクを避けるためにも、購入希望地を見つけた段階で簡易的なプランを出してくれるような、提案力と設計力の高いパートナーを見つけましょう。

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まとめ

(株)時代の家niigata「敷地の形状を生かした明るく快適な住まい」より

日当たりのいい家にするためには、方角ごとの特徴を知り、自分たちのライフスタイルと部屋の使い方に合わせたプランを考えることが大切です。

南向きだけにこだわりすぎず、建物の配置や窓の工夫、中庭や吹き抜けといった設計アイデアを取り入れることで、快適な住まいを実現できます。

しかし住宅プランのみで日当たりを確保するのには限界があるため、土地選びからしっかりとサポートしてくれる住宅会社に相談することが、家づくりを成功させるカギになります。

パートナーとなる住宅会社を探す際にはぜひ、sumicaの「すまいの相性診断テスト」をご活用ください。

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(監修/(株)新潟家守舎)