
吹き抜けは寒い?新潟の冬でも暖かく快適に過ごせる家づくり
せっかく注文住宅を建てるなら、開放感のある吹き抜けをつくりたいという方も多いはず。
しかしその際に心配なのが「吹き抜けがあると、冬に寒いのではないか」という点ではないでしょうか?
たしかにひと昔前は吹き抜けがある家は寒いといわれていましたが、最近の住宅は性能面と設備面でカバーできるので、寒さを感じる心配はありません。
そこで今回のコラムでは、新潟の冬でも快適に過ごせる吹き抜けのつくり方を解説します。
吹き抜けを取り入れた事例も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

対策を考えるには、まずは吹き抜けがある家が寒い理由を知るところから始めましょう。
理由は以下のとおりです。
● 暖かい空気は上昇する性質があるから
● 開口部の断熱性が低いから
暖かい空気は上へ、冷たい空気は下へ行く性質があるため、暖房器具によって暖められた空気は天井へ逃げていきます。
さらに吹き抜けがあると暖かい空気は2階部分に滞留するので、せっかく暖房をつけていても、1階部分が冷えてしまうのです。
また、吹き抜けには採光のために大きな窓や高窓(ハイサイドライト)を設けることが多いですが、これも吹き抜けが寒いと言われる原因のひとつ。
窓は家の中でももっとも熱損失が大きい部分なので、断熱性が低い窓を使うとそこから熱が逃げてしまい、寒さを感じるのです。
特に、新潟のように冬の平均気温が低く日照時間も短い地域では、吹き抜けによる冷え込みを強く感じるでしょう。

冒頭でもお伝えしたように、吹き抜けによる寒さは住宅プランで解決できます。
吹き抜けで部屋が寒くなる原因は、住宅の気密性と断熱性の低さにあります。
そのため吹き抜けをつくるなら、同時にそれらを高めるのが大前提。
高気密高断熱住宅にするのが必須条件です。
できれば「断熱等級6」、または「HEAT20」G1レベルの性能は確保した方がよいでしょう。

なお、現在(2025年9月)は「省エネ基準適合義務化」によって、新築住宅の断熱性は最低でも等級4を満たす必要があります。
吹き抜けをつくるときには、採光のために大きな窓や高窓を設置するのが一般的です。
その際吹き抜けに取り付ける窓は、特に断熱性が高いものを選びましょう。
具体的には、ガラスは「Low-E 複層ガラス」や「トリプルガラス」、サッシは「樹脂製」がおすすめです。
高性能な分費用は高くなりますが、吹き抜けに近い部分の開口部は、しっかりと断熱性を高めたほうがよいでしょう。
パッシブデザインは、エアコンや照明などの機械や設備に頼りすぎず、太陽光の熱や風といった自然エネルギーを利用して室内環境を快適に保つ設計手法のこと。
たとえば、南向きの窓から熱日射を取り込んで室内を暖めたり、風の流れを意識した窓配置で換気や蒸し暑さを軽減したりと、吹き抜けの欠点を補うのに最適です。
住宅性能を高めるとともに自然エネルギーを利用すれば、機械や設備に頼りすぎず、快適な住空間を実現できます。

吹き抜けによる寒さは、設備面でもカバーできます。
吹き抜けの「暖かい空気が天井に溜まりやすい」というデメリットを解消するためには、シーリングファンの設置が効果的です。
ただし、シーリングファンにはさまざまな種類があるので、部屋の広さや天井傾斜の有無、設置位置などに合わせて商品を選ぶ必要があります。
デザインだけで決めてしまうと思うような効果が得られない可能性があるので、住宅会社と相談の上、自分たちの家に合う商品を選びましょう。
全館空調は、家の中の空気を循環させて家全体の温度を快適に保つシステムのこと。
スポット的に冷暖房を効かせるエアコンとは違って、廊下やトイレ、洗面脱衣室など家中の温度を一定に保てるので、吹き抜けのある家でも温度差を感じることなく快適に過ごせます。
ただし、効果を十分に発揮するためには、高気密高断熱住宅であることが必須。
さらに初期費用は100~300万円とエアコンよりも高いので、予算をみながら導入を検討しましょう。
新潟のように冬に厳しい寒さが続く地域には、床暖房や薪ストーブの導入がおすすめです。
床暖房は足元からじんわりと暖かくなり、薪ストーブは部屋全体を心地よい温度に暖めてくれます。
住宅のプラン面や性能面では解消しきれない寒さも、こうした暖房器具と組み合わせれば、それほど心配する必要はありません。

ここからは、実際に新潟の注文住宅で吹き抜けを取り入れた事例を紹介します。
ぜひ参考にしてください。

広々としたLDKをさらに開放的に見せるために、吹き抜けを取り入れた事例です。
吹き抜けと大窓の効果によって空間が広く見えるのはもちろん、明るい光が入ってくるので、晴れの日の日中は照明いらず。
軒を少し延ばしたことで、直射日光を程よくシャットアウトできます。
断熱性は「HEAT20」の中でもっとも高いG3レベルを確保しているので、これだけの大開口があっても、寒さを感じる心配はありません。

コンパクトなリビングを広く、そして明るく見せるために吹き抜けを取り入れた事例です。
リビング部分をすべて吹き抜けにすると2階の面積が減ってしまうので、吹き抜け面積は最小限に抑えましたが、採光効果はバツグン。
高窓から、温かな光が差し込みます。
内断熱と外断熱を組み合わせた「付加断熱工法」を取り入れたので、新潟の冬も底冷えするような寒さを感じることなく、快適に過ごせます。

「吹き抜けがある家が寒い」というのは、ひと昔前の話。
最近の住宅は性能面がとても高くなっているので、気密性や断熱性をしっかりと高めたうえで吹き抜けをつくれば、冬に寒さを感じる心配はありません。
ただし、新潟のように冬に温度が下がりやすい地域では、プラン面では解消しきれない寒さを設備面でカバーしなくてはなりません。
どのような対策が必要なのかは、住宅会社のアドバイスを受けながら考えてみてください。
家づくりのパートナーとなる会社選びの際には、ぜひsumicaの相性診断テストをご活用ください。
診断結果に応じておすすめできる複数の会社へ、一括で資料請求や相談の問い合わせができます。
(監修/(株)新潟家守舎)