
【新潟】変動金利上昇!銀行ごとの比較が難しくなった理由と今後の住宅ローン選びのポイント
2025年4月、住宅ローンの世界に大きな変化がありました。
9割以上の金融機関が変動金利を引き上げたのです。
新潟県の代表的な銀行である第四北越銀行も例外ではありません。同行の変動金利は1%の壁を突破し、1.125%まで上昇しました。
第四北越銀行の、この1年間の変動金利の動きを具体的に振り返ってみましょう。
0.725%から0.875%へと上昇(政策金利が+0.15%)した後、2024年暮れに政策金利が+0.25%となりました。
そして2025年4月、その後最初の住宅ローン変動金利見直し月を迎え、見直し結果として変動金利は+0.25%の1.125%となったのです。
つまり、わずか1年で0.725%から1.125%と、0.4%も上昇したことになります。
さらに、日本銀行は2025年の年末に向けて、追加で+0.5%の金利上昇を示唆しています。
この動向が続けば、2026年4月の金利は2025年4月からさらに+0.5%上昇した水準(第四北越銀行の場合、1.625%)に達する可能性があります。
以上が、現在入手可能な情報から読み取れる金利予測です。
今回の金利改定で特筆すべきは、金融機関ごとに金利の上げ幅が違ったことです。
これまでは、日銀の政策金利の動向に合わせてほぼ一律に変動していました。
そのため、金利の安さだけで選ぶなら、ネットでランキングを調べるなどの方法が、ある程度有効でした。
例えば、少し前は地方銀行の金利は0.725%前後、ネット銀行は0.4%前後でした。
政策金利が0.15%上がれば、それに比例して地方銀行は0.875%、ネット銀行は0.55%というように、常に同じ幅で変動していました。
そのため、最初にローン商品を選ぶ時に、金利の低いものを選んでおけば、ひとまずOKというような戦略が取れたのです。
ですが、今回の動きは一律ではありません。
政策金利が0.25%上がったのに、その上昇分をそのまま住宅ローン金利に反映させ+0.25%としている銀行はそれほど多くありません。
例えば、ネット住宅ローンの最大手である住信SBIネット銀行の4月の金利は0.698%で、前月比で約+0.2%の上昇にとどまっています。
このように、0.2%前後の範囲内で、銀行ごとに戦略の違いが見え始めてきました。
その結果、3月までの金利ランキングの順序が入れ替わっています。
しかし、ランキングを鵜呑みにして今後の金利を予測するのも危険です。
今回の金利改定では、大きく上げた銀行もあれば、そうでない銀行もありました。
ですが今回の実績だけでは次の金利上昇時にどうなるかは予測できません。
例えば、前回の金利アップ時に無理をして金利を上げなかった三菱UFJ銀行も、今回は金利を引き上げています(最低0.595%~)。
さらに、メガバンクの三井住友銀行でも0.925%と、既に1%に迫る状況です。次の利上げで1%突破は確実な情勢になりました。
2025年4月に、無理して金利を上げなかった銀行は、採算を合わせるため次回は大幅に引き上げるかもしれません。
一方、先に金利を上げた銀行は少し余裕があるため、次回は据え置くかもしれないし、毎回無理をせず金利を上げる方針かもしれません。実際のところ、その時にならないと分かりません。
「結局、何が得なのか?」
という疑問が浮かぶのも無理はありません。
総支払利息を予想し比較することが難しい状況になってきているのです。
なぜ銀行ごとに金利の対応がここまで違うのでしょうか。
ストレートに言えば、経営方針の違いによるものです。ですが、銀行ごとに変動金利の動きが異なった背景には、以下のとおりいくつかの原因が考えられます。
各銀行の資金調達方法によって、コストが異なります。
・預金の割合が高い銀行:お金があるので比較的低コストで自前での資金を調達できる
・預金の割合が低い銀行:市場からの調達割合が高いため、金利上昇の影響を受けやすい
という特徴があります。
顧客を獲得するための金利戦略は、銀行によって異なります。
・変動金利をそれほど安くせずに10年固定金利などへの誘導を強める
銀行もあれば、
・安い金利で顧客を集め、新たに住宅ローン以外の投資や保険の商品販売につなげる戦略を取る
銀行もあります。
金利が上昇するリスクの負担度や今後の金融市場の見通しに関する判断は、各銀行で異なります。
リスク回避型の銀行は早めに金利を上げる傾向にある一方で、積極的に貸し出しを行いたい銀行は、金利の上昇を抑える傾向にあります。
今回のように、銀行ごとに金利の動きが異なると、住宅ローンの比較がより難しくなります。
基準金利と優遇金利の違い
変動金利には、基準金利と、住宅ローンの返済額を抑えるため決められた引き下げ幅の範囲で基準金利から引かれた優遇金利があります。
以前は優遇金利がほぼ固定で、基準金利が上がれば「適用金利」も上がるという単純な仕組みでした。
しかし今回の改定では、基準金利を上げつつも優遇金利を調整して適用金利の上昇を抑える銀行もありました。
つまり、人により実質的な適用金利が変わってくるのです。
ネット上の情報だけでは判断できないため、私たちはこういう金利を「裏金利」と呼んでいます。
新規借入れと既存借入れの差
銀行によっては、新規の借入れに対しては金利を低めに設定し、既存顧客の借入れについては金利を上げる動きも見られます。
新規のお客さんに安くするのは生命保険や携帯電話の業界でも聞く話ですよね。
既存の顧客が借り換えるにも手数料がかかり、そう簡単には動くことはできません。
「借り換え手数料がかかることを考えると借り換えないほうが良いかな」という微妙なラインに金利を設定するのは、銀行の経営判断としてはごく自然なことです。
私個人としては今まで安い金利でお客さんを集めていた銀行ほど、どこかのタイミングで新規と既存で借り入れの差をつくるのではないかと思っています。
今後住宅ローンを組む際は、以下のポイントに注意して銀行を選ぶ必要があります。
目先の金利の安さだけでなく、「政策金利上昇分と実際の金利の差の推移」を調べることが重要です。
政策金利の上昇に応じて金利が上がっており、その中で適用金利が割安なものを選ぶのが、リスクの少ない選択肢となりそうです。
ネット上では低金利に見えても、優遇金利の適用条件が厳しい場合があります。
例えば、
・頭金20%以上(借入率は80%以下)
・給与振込
・クレジットカード作成と利用
などの条件のうち、いくつかが付く場合があるので注意が必要です。
また2025年4月現在ネット最安と思われる銀行は、金利を上げるタイミングや毎月の返済額反映が即時、という独自ルールとなっています。
将来的に自分に不利益事項にならないか、十分に検討する必要があります。
変動金利の動きが不透明な中、金利上昇リスクを避けたい人は、固定金利の選択も考えるとよいでしょう。
特に、今後さらなる金利上昇が予想される場合、固定金利の方が安心できるかもしれません。
もう一段変動金利が上がることがほぼ確実になっている2025年4月現在も、フラット35は金利上昇を踏みとどまっています。
そのため、個人的には2025年末くらいにかけてフラット35のニーズが急上昇すると見ています。
金利以外にも、銀行ごとの対応の違いをチェックしましょう。
繰上げ返済の柔軟性、手数料の違い、相談のしやすさなども考えると、長期的に有利な選択ができます。
今までのように借りっぱなしではなくて、
・金利が上がる局面になると対人で相談できる
・返済が苦しくなったりした時に融通を利かせてくれる、
そんな対応をしてくれる銀行が利用者に支持されるのは、自然な流れです。
金利の上昇は、毎月の返済額を増加させるだけでなく、借入可能額の上限も下げることになります。
例えば、基準金利で前年比+0.4%の上昇があれば、同じ条件下でも借入限度額が約300万円減額しています。
限度額まで目いっぱい借りるのは危険で、おすすめできません。
また、今までは限度額そのものに余裕がありましたが、希望額が借りられないパターンが今後増えてくると思います。
希望額が借りられない場合の対処法として、
・返済期間を35年から40年に延長する
・夫婦合算で借り入れを行う
などの方法がありますが、それで対処するなら十分に計画を立てることが必要です。借り入れ過多になっていても分かりにくいからです。
売り手から、あなたの借入額を上げるためにさまざまな話を持ちかけられることもあるでしょう。
希望の物件を買いたいからといって、無茶なことをするのはやめましょう。
無理して借入額を増やす選択肢をとるのは危険です。
特に変動金利の場合、今後、毎月の返済額の増加が予想されます。
シミュレーションを行う際は今後も大丈夫か、固定金利の返済額を見て、変動金利が上がっても返済が可能か確認しましょう。
金利の環境が変化する中、賢明な選択には、細心の注意と十分な情報収集が欠かせません。
専門家のアドバイスも活用しながら、自身の状況に最適な住宅ローンを選びましょう。
<無理のない資金計画を!>
~新潟住まいのお金相談室ブログ「【2025年4月 住宅ローンの変動金利が上昇】銀行ごとの比較が難しくなりました」より~