
【最長50年】超長期化する住宅ローンのメリット・デメリットと注意点について解説
50年ローン。
このような超長期ローンを聞いて、あなたはどう感じますか?
実は最近、銀行が長期のローンに参入しているのです。
例えばネット銀行大手auじぶん銀行が、2025年1月から50年返済ローンの取り扱いを始めました。
ネット銀行最大手の住信SBIネット銀行やメガバンクの三井住友銀行でも、既に50年ローンを取り扱っています。
新潟では、第四北越銀行、新潟労働金庫、JAバンク。
現在は最長40年ローンが最大ですが、最近は50年ローンへの参入が非常に増える傾向にあり、今後50年ローンへ商品展開されていくのは業界のトレンドと言えます。
40年でも長いのに、50年とは。
住宅ローンとは、もう一生涯付き合う時代に入ってきたと言えそうです。
初めに大前提として押さえておきたいのは、
・50年も利息が取れて喜ぶのはどなたですか?
・50年にすると、毎月返済額の低い見積もりを出せるのはどなたですか?
この2点ですね。
この手の商品は典型的に「売り手」に利益が偏っています。
長期間にわたって利息を取ることで、利益を得ることができるからです。
毎月返済額が低ければ、住宅を購入できそうだな、と感じてもらうことができるからです。
そして「買い手」はそれに伴う損失やリスクを受け入れる必要があります。
住宅価格の上昇により、35年ローンでは手の届かない人が増えています。
そこで40年や50年のローンが登場しているわけです。
家の価格が上がっている。
だから毎月返済額が大きくなりすぎて、返済が厳しいという感じです。
今までは35年返済で「家賃並みの毎月返済額で大丈夫!」とPRできていました。
ですが、住宅価格が高騰し、次第にできなくなりました。
「毎月返済額」を下げるために、年数を長く取った住宅ローンが「売り手」にとって求められていたということです。
私は40年ローンが発売された当初は「さすがにそれは無理。受け入れられないし、売れないだろう」と考えていました。
ところが実は売れていて、40年ローンは首都圏よりも地方で人気とのことです。
新潟を含めた地方で家を買う方は、基本的には売却を前提とせず、圧倒的に永住前提となります。
「家賃を支払うくらいならローンを返した方が得になるよね」という考え方です。
かつ地方では結婚年齢も首都圏に比べて若い傾向があります。
定年が伸びていて、親世代も元気で働いている方も多数いる。
若い子育て世帯には、この40年超の住宅ローンがぴったり合う、ということなのです。
確かにそれはその通りなのですが、40年…50年。
私も20代で家を建てましたが、それでも70手前や80歳近くまでローンを払い続けたいとは、とても思えなかった。
あなたはどう考えますか?
40年以上のローンには、長期間の返済を前提とした独自のメリットとデメリットが存在します。
メリット1:毎月の返済額を大きく下げられる
返済期間が長くなることで、借入額を細かく分割できます。
例えば3,000万円を35年で返せば、利息を無視すれば「3,000÷35」で年間約85.7万円です。
50年で返せば「3,000÷50」で年間60万円となります。
こうして毎月の返済額も大幅に下げることが可能です。
毎月の返済を抑えたいというニーズがある、若い世代や子育て世代の家計に余裕をもたせることができます。
メリット2:希望する物件に手が届くようになる
長期間でのローンで月々の負担は減るため、従来の35年ローンでは予算オーバーになりがちな物件でも購入が現実的になります。
大きなメリットは、初期投資を抑えながら、希望の住居を手に入れられる、ということになります。
新潟の住宅購入の場合、永住が前提になることが多いです。
土地にお金をかけ、快適性という恩恵を得て資産としても遺せる、という考え方ですね。
メリット3:将来のインフレ恩恵を受けられる(かも)
利息の負担以上にインフレで物価が上昇した場合にはその恩恵を受け、実質的な負担が軽くなるということになります。
家賃負担の損失は、家を早く建てた分だけ抑えられるし、家がどんどん高騰するなら早めに買ってしまうという考え方です。
メリットは確かにメリットである(かもしれない)のですが、どうも売り手のセールストークっぽくなってしまいますよね。
そのメリットは消滅する可能性も否めない点をどうあなたが評価するかです。
メリットが消滅する可能性については、多くの売り手は詳しく語らないでしょう。
そんなデメリットについても、これから解説します。
デメリット1:総返済額が増す
支払う利息の総額は、返済期間が長くなる分、膨らみます。
たとえば、金利が上昇していくと50年間にわたる返済では利息が元本を上回る場合もありえます(!)。
月々の返済額が少ない分、長期間利息を払い続けることになります。
その結果、長期的には負担が大きくなります。
長期ローンは変動金利の商品が主体なので、借りる側にとっては金利が上昇するかもしれない、というリスクを承知する必要があります。
デメリット2:老後の破綻リスク
例えば30歳で50年ローンを組めば、55歳でようやくローンの折り返し地点です。
高齢になっても、ローン返済は残ることが前提です。
退職金で支払いが完了できない場合には、退職後の生活費や医療費などへの悪影響が懸念されます。
特に、定年後の収入が減った時に返済を続けるのは、大きな負担になります。
デメリット3:売却したくてもできなくなるリスク
50年ローンにすると10年返してもようやく5分1の返済です。
実際は返済初期には利息が多くを占め、元本があまり減りません。
そのため、もしも途中で住み替えや売却を考えた時に、ローン残高が売却価格を大きく上回り、売っても借金を消せない状態になるリスクが高まります。
この場合、新しい住居を購入する際、資金繰りが難しくなる可能性があります。
ですので基本的には、永住が大前提となります。
長期ローンにはメリットもある一方、正直に言うと私には問題の先送りに見えてしまいます。
デメリットが勝るのでは?とどうしても思ってしまいます。
あなたの考えはいかがでしょうか。
そのデメリットをおしてでも「50年ローン」でもOKというケースを考えてみると…
今すぐにはお金に余裕がないけれど、将来的に大きな相続が見込める。
または確実に大きな退職金を期待できる。
など、返済の原資が読める場合については一考といったところでしょうか。
(そんなこと、あまりないとは思いますが...。)
しかしそもそも確実ではない要素の中で、余裕がないのに無理をして予算が大きい住宅を購入する。
このこと自体が危険極まりないと考えるのが基本でしょう。
ネットで安い変動金利を検索するのも大事なことですが、これから住宅購入を考えている方にぜひしていただきたいことがあります。
それはあなたの借りようと思っている金額で、
・35年返済
・金利は固定金利
のシミュレーションを作ってみること。
出てきた金額で心理的負荷がないか、返せそうかを必ず一度確認してみてください。
え!?そんな金利が高いのに、短期間で、なんであえて作らなければいけないの?
そんな厳しい資金計画は、見たことがないよ。
そう思うかもしれません。
見たことがないのは、目にしやすい資金計画は売り手側の発信だからです。
「売り手」側が作成する資金計画については、少しでも安く見せたいという都合上、
・変動金利
・かつ35年以上のローン
この条件でシミュレーションが作成されることが多いです。(チラシなどを見てみてください)
また、YouTubeなどで最適解とされがちな変動金利で借りまくり、手元に現金を残して資産運用。
このパターンをお勧めする人が多いのは、そうすることで利益を得られるポジションにいるからです。
長期ローンを検討する際は、十分な情報収集と計画立案が欠かせません。
将来にわたり負担が大きいため、将来のライフイベントや収入の変化に注意を払い、将来の不確実性も考えた見通しを持つことが大切です。
特に今は日本銀行が政策金利を上げだしている局面です。
金利が上がった分、ローン返済の年数を延ばすことで毎月の返済額を減らす方法は、極めてリスクが高いです。お気を付けください。