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【新潟市】共働き夫婦のための住宅ローン戦略|連帯債務とペアローンの違いを徹底比較

昆知宏(新潟住まいのお金相談室 代表)

「昆さん、知ってますか?新潟市は、最も共働き比率が高いのですよ!」

…2025年度のフラット35について、先日住宅金融支援機構の方が来て、ルールの詳細を説明してくれました。

もしあなたが住宅ローンを調べ始めていたら、フラット35という住宅ローンの名称について、一度は聞いたことがあるかもしれません。

住宅ローンの選択肢として、数少ない【全期間固定金利】が、フラット35となります。

2024年度に好評だった「フラット35子育てプラス」は2025年度も継続するようで、私も一安心しているところです。

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【2024年開始】住宅ローンの金利優遇!フラット35子育てプラスとは?

その説明の中で、冒頭のひとことがありました。

新潟市は全国的に見てみると、政令指定都市の中で最も共働き率が高い、とのことでした。

たしかに、我が家も第2子の誕生後、一時的に妻が正社員を辞めたものの、基本的には共働きを継続してきました。知人や友人を見ても共働きがほとんど。

相談者の方も9割は共働きです。

「共働きは普通のこと」

そう思っていたのですが、新潟市は全国的に見ても共働き率が際立っているようです。

ということは、新潟の皆さんは「共働きの住宅ローンの知識」にも関心があると思います。

そこで今回は、共働き世帯の住宅ローン戦略について詳しくご紹介していきます。

借入額を大きく増やせるのが共働きローンの最大のメリット

例えば、夫が年収380万円、妻が年収380万円。

世帯年収760万円という家族の場合で考えてみましょう。

フラット35の場合は、夫1人での借入限度額は約2,800万円になります。

ですが夫婦分を合計して審査をすれば、倍の約5,600万円となります。

現在の新潟で土地と建物を買う場合は、よほどの貯蓄がないと借入2,800万円では厳しいです。

ですが5,600万円なら、選択肢は大きく広がることになります。

実際は5,600万円の枠を使い切らなくても良いです。

返済を考えると、4,500万円以内にしたいとなることが多いと思います。

この額でも1人だと借りられませんが、2人だと借りることができるようになります。

つまり夫婦共働きローンの最大のメリットは、若くても借入額を増やせることである、と言えます。

もちろん、借りられる額と無理なく返せる額は違いますから、慎重に返済計画を立てることが大前提です。

夫婦連帯債務とペアローンの違いは?

借入額を大きく増やせるのが共働きローンの最大のメリット

次に、夫婦で住宅ローンを組む際には、組み方が2種類ある、と心に留めておいてください。

その2種類とは

①夫婦連帯債務
②ペアローン

です。

例えば、第四北越銀行・大光銀行・新潟労働金庫・JAバンク新潟など、新潟が本拠地の金融機関で、共働きの場合スタンダードなのは「①夫婦連帯債務」という返し方になります。

ネット銀行やメガバンクなど大手金融機関では、「②ペアローン」でもローンを組むことができます。

この、「夫婦連帯債務とペアローンの違い」について説明していきますね。

夫婦連帯債務 =夫婦で一緒に返す

連帯債務は、1つの住宅ローンを2人で共同で返済する方法です。

主に夫婦どちらかが「メインの債務者」となり、もう一方が「連帯債務者」として責任を持ちます

借金でいう、連帯保証人のもう少し重たいバージョンみたいなイメージで理解してOKです。

ローン契約は1本で、借入金額や返済額も一体です。

【連帯債務の特徴】
・契約は1本
・夫婦それぞれが収入を合算して借入可能(収入合算)。年収に比例させて不動産の持ち分を決めることが多い
・住宅ローン控除は組み方によっては夫婦ともに対象

ペアローン =それぞれ別々に契約返済

ペアローンは、夫婦それぞれが別々にローン契約を結ぶ方法です。

たとえば、3,000万円の物件に対し、夫が1,800万円、妻が1,200万円などと分けて契約します。

つまり、2本のローンが存在し、それぞれがメインの債務者になります。

年収に対して、借りられる額の範囲内であれば、ローンの比率は自由に決めることができます。

【ペアローンの特徴】
• 契約は2つ(夫と妻がそれぞれ別々にローン契約)
• それぞれが住宅ローン控除を受けられる
• 夫婦それぞれに団信(団体信用生命保険)を自由につけられる
• 諸費用(登記費用や保証料など)が2つ分、かかる

夫婦連帯債務とペアローンの比較まとめ

これまで説明してきた

・夫婦連帯債務
・ペアローン

の特徴をまとめると、以下のようになります。

項目 夫婦連帯債務ローン ペアローン
ローンの本数 1本 2本
住宅ローン控除 夫婦それぞれに適用可能(組み方による) 夫婦それぞれに適用可能
団信の加入 原則、主債務者のみ(同じ内容であれば金利プラスで2人も可能) 夫婦それぞれ好きな内容で加入可能
諸費用 1契約分 2契約分(その分コスト増)
収入合算 可能 収入を分けて自由に借入

では、夫婦連帯債務とペアローンは、どちらを選ぶべきなのでしょうか。

続いて、住宅ローン選びのポイントについて、解説していきます。

夫婦連帯債務とペアローン、どちらを選ぶべきか?

最初からどちらかの組み方に強くこだわるのはナンセンスです。

ローン選びの大原則として、金利や諸費用を比較したうえで、まずは有利な銀行をしっかりと選ぶことです。

選んだ銀行が、夫婦連帯債務orペアローンのどちらのタイプなのか、それともどちらか選べるのか。

それが分かってから選択する、という考え方で問題ないでしょう。

前述のように新潟が拠点の金融機関では、そもそもペアローンの取り扱いがないケースが現時点では多いです。

つまり、夫(または妻)が主体となる住宅ローンに、もう一方が連帯保証(連帯債務)として入るケースが一般的ではあります。

ペアローンが新潟で勢力を拡大してきた

それでも最近はペアローンにも対応できるネット銀行が、新潟でも大きくシェアを伸ばしています。

ペアローンの考え方は特に分かりやすく、家計管理を別々にする世帯には強い人気があります。

例えばペアローンでは、別々に住宅ローンを組むわけで、ローンの返済がそれぞれの通帳からとなります。

二人の名義の通帳から、それぞれが借りた住宅ローンの分だけ毎月引き落としになります。

それぞれ稼いだお金は自由に管理したい。住む家の負担は収入に応じて平等にしたい。

そういう価値観の家計には、ペアローンはとてもフィットするわけです。

フラット35もペアローンが可能になった

完全固定金利のフラット35でもペアローンが可能になり、さまざまな戦略が取れるようになりました。

フラット35は、返済期間が最長20年・35年・50年でそれぞれ金利が異なります。この特性を利用すると、夫婦で返済期間を変えることもできるようになります。

例えば、土地・建物5,000万円の計画だとして、夫4,000万円、妻1,000万円でペアローンを組むとします。

夫は35年返済、妻は借入額が少ないから金利の安い20年返済にする。

このように固定金利をミックスして、リスクを排除しながら全体の金利を下げる。

ペアローンのメリットとして、そんな戦略も打てるようになるのです。

住宅ローンの保険の選択でさらに柔軟なプランに

しかも、フラット35は住宅ローンの保険が必須ではありません。

もし保険を付けないという場合は金利が下がります。

ということは、借入額の少ない方は「保険無しで金利を最大限下げたうえで、短期返済を目指す!」という手も考えられます。
(借り入れ額くらい出る既存の生命保険にすでに入っていれば、なお良いでしょう)

短期返済を狙うだけが戦略ではありません。

妻のローンは短期返済。一方で、夫の方は35年返済ではなく、もっと伸ばして40年返済。

そして保険をMAXでかけておく、という併せ技も実現可能となります。

極端な例で言えば、夫は50年返済、妻は20年返済など好きなようにできるわけです。

ペアローンの良さは「カスタム性があること」だといえますね。

つまり、ペアローンのほうが家計全体で見たときに、自由自在に住宅ローンの返済プランを組みやすい、といえます。

はじめに基本のライフプランをしっかり作成しておけば、自分にあった住宅ローンをカスタムできるということになります。

ペアローンが身近になってきた今では、住宅ローンを組むときの戦略性が増してきた、ということは間違いなく言えそうです。

 

~新潟住まいのお金相談室ブログ「連帯債務かペアローンか。共働き率No1の新潟市の住宅ローン戦略」より~