
フルローンは危険?理想的な頭金の考え方と、後悔しない家づくりの第一歩
住宅価格と住宅ローン金利は、年々、急激に上がっています。
最近は「住宅取得」の家計的なハードルが、さらに高まりつつあります。
家族の将来を見据えた理想の暮らしの住まい。
長年思い描き、期待をふくらませている方も多いでしょう。
ですが、いざ住宅購入となった時、避けて通れないのが「お金」の問題や悩みです。
最近は、無理をして住宅ローンを組む人が非常に増えています。
価格は上がっても、家はやはり欲しいという思いから。
「頭金ゼロ」「フルローンでも購入できるならそれでいいか」と考える方が増えているのです。
でも、ちょっと待ってください。
住宅ローンの選び方一つで、将来のあなたの家計状況が大きく変わります。
今回は、これから住宅購入を、と考えている方に向けて、
なぜ「フルローン」が危険なのか、
そしてどの程度の頭金を用意するのが理想的なのか、
この2点に焦点を当ててお伝えします。
「フルローン」とは、頭金を全く用意せずに住宅価格の全額をローンで借りることです。
土地や建物の価格だけでなく、家具や家電、諸費用まですべてローンに含めて借りる方法を指します。
つまり貯金がなくても、あなたの信用さえあれば、今すぐに家を購入できます。
最新の家電や憧れの家具も、住宅購入時に一緒に買えます。
これは、とてもすごいことであり、怖いことでもあります。
瞬間的には、「手元の資金を減らさずに済む」「貯金を投資で回せる」など魅力的に思えるかもしれません。
しかし、長期的には非常にリスクが高いのです。
代表的なリスクを以下に、見ていきましょう。
フルローンを組むと、全体の借入額を増やすことになるため、月々の返済額が高くなります。
そのうえ返済は、30年、40年という長期間にわたって固定された重い支出となります。
住宅ローン以外にも、
・教育費(子どもの進学)
・車の買い替え
・医療費や介護費
・思いがけない修繕費用
など、人生には予期せぬ出費がしばしば発生します。
にもかかわらず毎月の住宅ローンで家計がギリギリの状態では、生活に余裕がなくなり、精神的不安も大きくなりやすいです。
生活費や子育て費用の負担だけで精一杯。
なので家族旅行の費用は出せない…。
子どもの習い事や部活動はお金がかかるので、子どもにはあきらめてもらいたい。
そうした前例を自分でも十分に想定できるのです。
現在の住宅ローンの主流は、今も「変動金利型」です。
あまりにも一般的ですが、これは将来的に金利が上がる可能性が、常にある商品です。
2024年には日本銀行がマイナス金利を解除し、今後数年間は「金利上昇局面」に入る可能性が高まっています。
金利上昇があった場合、年間の返済額は数万円単位で毎年増える可能性があります。
フルローンで借入額が多ければ多いほど、金利上昇の影響は深刻です。
現在の金利だけを基準に住宅ローンを判断すると、後々取り返しのつかない固定支出になる恐れがあります。
このリスクは事前に理解しておきましょう。
「多くの人が変動金利を選んでいるから大丈夫」という考えは、自分にも通用するとは限りません。
万が一、固定支出が払いきれなくなった時、家計に策がなければ、そこで破綻してしまいます。
住宅は購入した瞬間から市場価値が下がります。
特に注文住宅の場合、リセールバリューは極めて低いことを知っておきましょう。
新潟では、家は資産というより永住を前提として買うことが多いです。
もしその前提が途中で変わると、家計は苦しい状況になります。
住宅は必ずしも「購入=資産形成」ではなく、売却時には価格が大幅に下がっていることが確実です。
このとき、ローン残高が物件の価値を上回ると、「家を売却しても借金が残る」オーバーローン状態に陥ってしまいます。
つまり、家を売却したくても、損失分を現金(貯金)で用意できない限り売却不可能になります。
これは、転勤・離婚・親の介護などで住み替えが必要になった際に、行動の自由が奪われる、ということになります。
フルローンで住宅購入する場合は、永住する覚悟を持って臨みましょう。
なお、フルローンに限らず新潟で注文住宅を建てる場合、永住前提という覚悟があったほうが良いと思います。
実際に新潟では、首都圏と比べて土地の価格が安いため、賃貸より所有のほうが総合的に有利になることが多いです。
何よりも暮らしが快適です。
フルローンは避けるべき。つまり、頭金が必要ということです。
では具体的に、どの程度の頭金を準備するのが理想的でしょうか。
ここでは段階別に、現実的で効果的なお勧めの目安を示します。
引っ越し直後に必要となる家具や家電。
冷蔵庫、洗濯機、エアコン、ソファ、ダイニングセット……ふと気付けば100万円以上になることも珍しくありません。
マイナス金利政策をきっかけに、家具・家電を住宅ローンに組み込むことができるようになりました。
これらをローンに含める方もいますが、お勧めできません。
よく考えてみてください。
ローン返済期間は、平均で約35年です。
ところが家電の寿命は平均10年です。
10年で交換する家電を35年ローンで購入するのは、明らかに不合理です。
つまり壊れて捨ててしまった物に、いつまでも利息を払い続けるようなものです。
まずは最初の目安として、家具・家電はローンに含めず、できる限り現金で用意しましょう。
住宅購入時には、本体価格以外にも多くの費用がかかります。
・登記費用
・火災保険
・住宅ローン事務手数料
・仲介手数料
・引っ越し費用 など
これらを住宅ローンに組み込むと、借入額がさらに増え、返済負担も大きくなります。
これらの費用は、土地や建物、家具・家電とは異なり、実体のない単なる税金や手数料です。
ローンを組んで借りるものではないという考え方が従来は主流でした。
マイナス金利時代の影響で何でも貸してくれる名残がありますが、近い将来、家具・家電や諸費用をローンに組み込めなくなる時代が再びくる可能性も考えられます。
つまり以前は普通だった「諸費用は現金で準備する」という姿勢が「安心の第一歩」となります。
頭金を出すか迷っている方は、まずは諸費用と家具・家電分を自己資金で準備することを目安にしましょう。
金融機関の住宅ローン審査では、「頭金10%」が一つの基準になります。
住宅ローンの金利のチラシやネット銀行の金利表を確認したことはありますか?
実際に、自己資金が10%以上あると金利が優遇される商品は数多く存在します。
特に固定金利のフラット35といった商品では、「土地+建物+諸費用の合計の10%を現金で用意できるかできないか」で金利が大きく変わります。
頭金があれば借入総額も減少し、万が一住宅を手放すことになっても損失が拡大しないケースも想定できます。
また、月々の返済額も抑えられるため、長期的な家計でゆとりが生まれます。
可能であれば、住宅価格の2割以上の頭金を準備できると理想的です。
金利負担が大幅に軽くなり、35年ローンではなく30年、25年ローンなど返済期間も短くしやすくなります。
さらに、将来の繰上返済や教育費とのバランスも取りやすく、一般的な価格帯の住宅購入であればローンにしばられない生活を達成しやすくなります。
またこの程度、頭金を入れれば、住宅を扱うにも選択肢が出てきます。
ローンの金額が少なくなるため、家を手放す場合もローン残高に近い金額で売却できる可能性も出てきます。
住宅は今までのローンさえ返せれば(その額で売却して良いと思えれば)、比較的容易に売却が可能です。
住宅購入後も、将来的な生活スタイルの変化に対応しやすいと言えるでしょう。
住宅ローンは「借りられる金額」ではなく、「返せる金額」で考える必要があります。
銀行が貸してくれる金額は、必ずしもあなたが安心して返済できる金額とは限りません。
現在は住宅が売れにくく、物価高騰の時代です。
住宅会社としては顧客が借り入れ可能な最大限の金額を提案する傾向があります。
多くの理想や憧れをプランに盛り込むと、自然とそうなってしまいます。
また銀行も審査基準を満たせば(銀行的に返済可能と判断すれば)、できるだけ多額で、長く借りてほしい、というのが本音です。
大規模な組織ほど、景気に左右されず常に前年を上回る売り上げを作っていかなければ、
「お客様第一」の理念を実践することは、実際には簡単ではありません。
これからの日本は、金利上昇・物価高・税負担増といった要素が絡み合い、将来の家計がますます不確実になる時代です。
現状を読み解くと、これらはほぼ確実なシナリオと言えます。十分な知識なしに住宅ローンを決めることは、とても危険な時代に突入しています。
だからこそ、住宅購入前に、教育・老後・ライフイベントなどを含めた総合的なライフプランを立てることが何よりも重要なのです。
<無理のない資金計画を!>
~新潟住まいのお金相談室ブログ「フルローンは危険? 理想的な頭金の考え方と、後悔しない家づくりの第一歩」より〜