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住宅ローンのプレッシャーに負けない!FPが教える3つの秘訣

昆知宏(新潟住まいのお金相談室 代表)

「住宅ローンって借金でしょ? そんな大きなお金を背負って大丈夫かな?」

こんな不安を、今まで何度も聞いてきました。

確かに住宅ローンは大きな借金です。

何十年も返していくプレッシャーは、とても重く感じますよね。とても共感できます。

この記事では、住宅ローンのプレッシャーに負けないための心構えを3つの視点からお伝えしたいと思います。

秘訣1:住まいの固定費は必ずかかるもの

考えてみてください。

もし家を買わなかったとしても、家賃の支払いはずっと続きます。

特に新潟市のように便利な場所で家族が暮らせる広さの物件は、家賃が高くなりがちです。これからはインフレの進行で「家賃のインフレ」の影響も出てきます。

人気のある便利なエリアの物件ほど家賃は上がりやすく、老後まで賃貸で暮らす場合は、その上がった家賃を払い続ける余力が必要です。

つまり家を買っても買わなくても、住まいにかかる固定支出はずっと続くのです。

大切だと思うのは「どちらを選んでもお金は払っていく」という現実を受け止めること。

賃貸なら楽で、購入は苦しい、と単純に考える話ではありません。

賃貸vs持ち家。新潟で暮らすなら

率直に言えば、ずっと新潟で暮らす気持ちがあるなら、私は家を持つ「持ち家」の選択をおすすめします。

実際に私自身もそう選択し、後悔はありません。清々しい気持ちで、最高に良い選択だった、と思っています。

家を所有することの良さは、数字で測れないところにもたくさんあります。

• 地域に根づき、コミュニティの一員になれる
• 子どもにとって「実家」ができ、地域愛を育める
• 賃貸より音を気にせず済むので、子育てしやすい
• 自宅で快適に仕事ができる
• 省エネ住宅なら、年間を通じて快適に過ごせる
• 家事動線を自分仕様にでき、日々のストレスが減る

そして何より「迷いがなくなる」のです。

「東京や他の場所で勝負したほうがいいかな」と揺れるのではなく、「ここで生きる」と決められる。

そうすると“ないもの探し”ではなく“あるもの探し”の思考になり、日々の幸せを感じやすくなります。

これは私が20代で出会った大きな金言の一つです。

秘訣2:合理性に徹するか、こだわりかを決める

最近サポートしている方の相談は、「2棟目の家」を建てるケースです。

その方が悩んでいるのは主に2つの選択肢です。

一つは、徹底してコスト合理性を重視した家。

もう一つは、希望をとことん詰め込んだ注文住宅。

家づくりを経験すると分かりますが、中途半端は後悔しやすいです。

だからこそ、2棟目は費用対効果を高くする「コスト合理性」か、100%希望した注文住宅にするか、どちらかに決める気持ちになります。相談者さんもどちらにするか迷っていました。

合理性重視なら賃貸よりトータルコストが下がる場合も

「住宅ローンの返済の負担をできるだけ軽くしたい」と考えるなら、合理性重視の家はとても良い選択です。

新潟は土地代が比較的抑えられるため、同じ広さの賃貸に生涯、家賃を払って住み続けるより、合計のコストが低くなります。

おおむね20年以上の古(ちくふる)マンションやアパートに比べ、信頼できる住宅会社の建物なら、格段に快適です。

集合住宅より、足音や騒音など「目立つ音を出して周囲に迷惑をかけてはいけない」と思うストレスもグッと減り、子育て世帯には安心できる選択になるでしょう。

実はコスト合理性に徹すれば、家の支出はそれほど家計の重しになりません。いい選択肢です。

一方で「せっかく建てるならこだわりたい」という思いもありますよね。

自分たちが一番快適なこだわりの家

自分の希望を詰めた注文住宅に憧れる方は多いでしょう。私自身もそのタイプで、郊外の安い土地にとことんこだわった家を建てました。

正直、リセール(再販売)の時は良くありません。人気のある土地、標準的な間取りではないため、売却時に思うような値段がつかないでしょう。

建物のこだわりは私たちだけの価値で、一般には資産としてみてもらえません。

でも、それでいいと思っています。私は売るつもりがありませんから。

自分たちが住む家は自分たちの好きにしていいじゃないですか、という感覚でした。

大切にしたのは「自分と家族が快適に暮らせること」。だから私は建物に全力を注ぎました。

人それぞれ正解は違います。合理性を優先するか、こだわりを優先するか、その答えは人それぞれとなります。

ただし、どっちつかずの妥協案は、後悔につながりやすい点には注意してください。

初めて家づくりをする方に、ぜひ参考にしていただきたい考え方です。

秘訣3:覚悟を持つと住宅ローンのプレッシャーはネガティブではなくなる

持ち家でも賃貸でも、住まいの支払いが続くことは分かった。

コスパ重視か憧れか、どちらかに決めてしまえば、家の後悔も少ないらしい。

それでも、プレッシャーは消えないでしょ!と思っているかもしれません。

ここで知っておいてほしいのは、プレッシャーが必ずしも悪いものではないということです。

プレッシャーはストレスであり抑圧ですが、同時に気を引き締め、気合いを入れ、目標に向かう原動力にもなります。

これが3つ目の秘訣です。覚悟を決めることで、住宅ローンのプレッシャーは少なくとも悪いものではなくなります。

どんな覚悟か、以下は私の個人的な例です。少し長いですが、お付き合いください。

覚悟を決めて動くと、景色が変わる

今は新潟で暮らしていく基盤を整えた私ですが、20代後半の頃、実は「東京に行って一発勝負しようか」と本気で考えたことがありました。

当時は思ったような結果が出ず、「環境のせいだ」と思い込んでいたのです。

新潟ではやりたい仕事もないし、選択肢もない。東京なら評価してくれるところ、やりがいのある仕事が見つかるはずだ、と…。

振り返れば愚かですよね。原因は環境ではなく、自分の力不足だったんです。

地方での経験や実績が足りないまま、競争の激しい東京で認められるのは無理だったでしょう。

もし東京に行っていたら、家を持つどころか、自分を見失っていたかもしれません。

しかし私は新潟に残り、「自分を変えるしかない」と腹をくくりました。

年間に1000冊の本を読み、優れた人の思考をコピーする。当時、お願いしながらの営業をしていましたが、悔しくて営業・マーケティング・経営の勉強を夢中でやりました。

学んだことの実践を日々の仕事の中で繰り返し、考えたトークがスベりながらも改善する日々。営業車で反省し、「次こそ!」と次の取引先でまた実践する。

その積み重ねで少しずつ道が開け、気がつけば取引先と距離が縮まり成績もついてきて、上司・同僚からも評価されるようになりました。

その頃には「自分が認められたい」ではなく「相手の役に立ちたい」と思うようになり、完全に世界が変わりました。

そして私は「新潟で生きていく」と覚悟を決めました。

郊外の土地を買って家を建て、住宅ローンを背負いました。でも驚くことに、プレッシャーにならなかったのです。なぜなら、もう「逃げない」と決めていたから。だめならそれも運だ、と割り切る覚悟があったからです。

「でも運はいいから大丈夫!」と信じられる気持ちを持てています。

いろいろありましたが、返済が苦しいと感じたことは、幸いにしてこれまでありません。

住宅ローンを抱えることは、ただ借金を背負うことではありません。

住宅ローンとは、私は覚悟を形にすることだと思います。

だから住宅ローンのプレッシャーを消す一番の方法は、「覚悟」を持つことではないでしょうか。

マイナスではなくプラスに変えられれば、住宅ローンはそれほど悪いものではありません。

あなたの覚悟を、一緒に見つけたい

もちろん、家を建てる前は、誰でも悩みます。

「本当に住宅ローンを返せるのか不安」
「子どもにお金をかけられなくなるのかな?」
「家は建てたいけど、どこまで背伸びしていいの?」
「感情に流されず、無駄を省くという考え方が安全?」
「FIRE(経済的自立と早期リタイア)を目指しているのに、家を買って大丈夫かな?」
「転職を考えているけど、ローンを組んで大丈夫?」
「賃貸と所有、どっちが私に合っているんだろう?」

ご相談を受けると、皆さんこうした思いを抱えています。

その答えは一人ひとり違います。

だからこそ大切なのは、ライフプランを作ってみること。数字を目に見えるようにすると、選択の基準が見えてきます

その中で無理をしないような設計にすれば、お金の不安はかなり減ります。

あとはトラブルが起きるかも、と不安を感じても、起きたら状況に応じて対処することに。結局だいたいライフプランの通りになります。

発生確率が数%のトラブルを心配せず、人生を楽しみたいものです。

 

<無理のない資金計画を!>


 

~新潟住まいのお金相談室ブログ「住宅ローンのプレッシャーに負けない!FPが教える3つの秘訣」より〜