
造作家具とは?オーダーメイド家具のメリットと注意点
インテリアショップやホームセンターなどでは、なかなかぴったりサイズの家具には出合えません。
家具選びをしているときにも、「もう少しこうだったらいいのに…」と感じた経験があるのではないでしょうか。
せっかく注文住宅やリノベーションをするのなら、室内に合わせた家具を用意したいですよね。
そんなときにおすすめなのが、『造作家具』です。
自分たちの希望や室内空間に合わせて、ぴったりサイズの家具をオーダーメイドで作製してもらえます。
今回は造作家具の種類やメリット・デメリットを解説しますので、ぜひ家づくりの参考にしてください。

まずは造作家具と置き家具の違い、種類などの基本知識を見ていきましょう。
造作家具は、住宅の施工時、または後から空間に合わせて製作する“造り付けの家具”を指します。
置き家具との違いは、大工さんや専門の職人によって現場で作られることと、壁や床、天井などに取り付けることの2つ。
完成した家具を置くだけの既製品とは違って、室内と一体化するように設置するのが特徴です。
造作家具といえばクローゼットやシューズクローク、本棚などの収納棚をイメージするかもしれませんが、住宅内のさまざまな物を造作できます。
便器や浴槽以外ならばすべて造作できるという会社もあれば、棚や家具のみの造作に対応している会社もあるので、事前に対応範囲を確認しておきましょう。

造作家具が人気を集めている理由を、メリットを交えて説明します。
造作家具の大きなメリットは、収納する物や空間に合わせた大きさにできることです。
どんなスペースにも取り付けられるので、デッドスペースを収納として活用したり、壁一面を覆う収納を取り付けたりして、限られたスペースを有効活用できます。
シンデレラフィットを前提に製作するため、サイズ違いが起こる心配がない点もメリットのひとつです。
壁や床、天井などに取り付ける造作家具は、家具自体が室内の一部のように見えます。
使う素材を床材に合わせれば統一感が出るので、インテリアの調和をはかりやすい点がメリットです。
とくにリビングダイニングのように過ごす時間が長く、来客などで人が集まる空間はインテリアに悩みがちですが、造作家具ならその心配はありません。
テレビボードや飾り棚、ダイニングカウンターなどを同じようなデザインで作ることで、統一感のある空間を実現できるでしょう。
造作家具の多くは無垢材や高品質な素材を使い、大工さんの高い技術をもって作られるため、既製品よりも長期間使用することができます。
また、室内と一体化するようにしっかりと固定するので、地震による揺れが起こったときに倒れてしまう心配もありません。
置き家具よりも初期コストは高くなりがちですが、耐用年数や安全性を考えると、コストパフォーマンスのよい選択肢と言えるでしょう。
造作家具は自分たちで仕様をすべて決められるので、予算に合わせて柔軟に対応できます。
費用を抑えたいときには棚を取り付けるだけのものや、オープンタイプのシンプルなものに。
こだわりたいときには細部まで仕様を決めるなどして、費用にメリハリを付けられます。
作業費がかかる分、既製品よりも割高ではありますが、予算配分の調整のしやすさは、造作ならではのメリットです。

さまざまな魅力がある造作家具ですが、取り入れるときにはいくつか注意しておきたいポイントもあります。
造作家具は現場で製作して取り付けるため、仕上がるまで現物を確認できません。
見本と似たような仕上がりにすることはできますが、オーダーメイドゆえにまったく同じものはできないので、作る物や職人の技術力によってはイメージしていたものと完成品に差が出てしまうこともあります。
イメージとの乖離(かいり)を防ぐためには、素材サンプルを取り寄せたり完成パース(イメージ図)を作成してもらったりするなどして、仕上がりイメージをしっかり確認しておきましょう。
壁や床、天井に取り付ける造作家具は、揺れに強いというメリットの一方で、取り外しや移動ができないというデメリットがあります。
模様替えをしたくなったときや劣化や傷などで交換したくなったときには、撤去作業と取り付けていた部分の補修工事が必要です。
造作家具は設置位置、大きさ、素材などの仕様をすべて自分たちで決めるため、打ち合わせの手間がかかります。
とくに収納物に合わせたものを作りたいのであれば、事前に持ち物の量やサイズまで把握しておかなくてはなりません。
仕様にこだわるほど手間と時間がかかる点に納得のうえで取り入れましょう。
工場で製造される置き家具と違って、造作家具は現場で大工さんや家具職人が製作するため、完成品のクオリティーに差が出やすくなります。
たとえば知識量や技術が乏しい会社に依頼してしまうと、棚が斜めに取り付けられていたり、壁の下地が不十分でぐらぐらしたりするなど、施工不良が起こることも。
満足度が高い造作家具にするためには、造作家具の施工実績が多い会社や、自社大工を抱えている会社など、施工品質が安定している会社を探しましょう。

最後に、注文住宅で造作家具を取り入れるポイントを説明します。
前述のように、造作家具は固定式なので簡単に撤去や移動ができません。
造作家具を長く使い続けるためには、将来のライフスタイルの変化も考慮した設計が重要です。
たとえばお子さんの成長に合わせて高さ調節ができる収納棚や、用途変更ができる可動式の間仕切りなど、そのときのライフスタイルに合わせて対応できるように柔軟性をもたせた設計を意識しましょう。
造作家具のデザインや機能性を最大限に引き出すためには、経験豊富な設計士や大工さんとの相談が欠かせません。
その際には、自分たちのイメージをただ伝えるだけでなく、専門家からの提案にも耳を傾けてみてください。
SNSなどで見かける造作家具はたしかに魅力的ではありますが、それが必ずしも自分たちの住まいやライフスタイルに合うとは限りません。
打ち合わせを進めるなかでプラスαのアイデアが生まれることもよくあるので、専門家の意見は積極的に取り入れることをおすすめします。

収納する物や空間に合わせて取り付けられる造作家具には、さまざまな魅力があります。
しかしその一方で、取り外しが難しく施工品質に差が出やすいなどの注意点があるのも事実。
造作家具で後悔しないためには、それらをしっかり理解したうえで、自分たちの価値観やライフスタイルに合った造作家具を取り入れることと、信頼できる住宅会社に相談することが大切です。
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自分の要望や不安を整理するよい機会にもなりますので、ぜひ利用してみてください。
(監修/(株)新潟家守舎)