
住宅とデッキでつないだサウナ小屋は、おうち時間の楽しさが膨らむ趣味と遊びの空間
サウナ小屋のある家
母屋との行き来がスムーズにできるように、段差のないデッキでつながっている
6坪のスペースとデッキで大人はくつろぎ、子どもたちは心躍らせる
「ねえ、おばあちゃん、あっちの部屋に行ってもいい?」
お孫さんたちがTさんの家に着くなり行きたくなるのは、5年前に増築したサウナ小屋だ。
母屋のリビングと段差のないデッキでつながっている。
焼杉の外壁が周囲の緑になじみ、その形から山小屋風にも見える。
当初は、サウナを設置するだけの小さなプレハブを考えていた。
「ところが増築を決め、計画を進めるうちに、やりたいことが膨らんできて」と、Tさんは笑う。
「喫茶スペースがあればくつろげる」
「客が泊まれるロフトを造ろう」
「バーベキューができるようにデッキは広めに…」
と、遊びの要素が増えていった。
完成した6坪の小屋は天井が高く、たっぷりと光が差し込み、リビングルームと言ってもおかしくない空間に。
デッキに出る大きな掃きだし窓からは中庭が眺められ、「サウナの後にここで飲むビールは最高です!」と、Tさんは満足そうだ。
お孫さんたちにお気に入りの場所を聞くと、「ハンモック!」と弟さん(小2)の元気な声が返ってきた。
お姉さん(小5)は、「ロフトに小さなイスと机があって、そこでグダグダするのが好き」。
「きっと孫たちにとっては秘密基地のような場所なんでしょうね」と、奥さまが二人の様子をうれしそうに眺めながら話してくれた。
白山が見える景色を遮らない配置で 周囲の色合いになじむ自然素材を使用
サウナ小屋を増築するにあたって、奥さまから出された条件は「母屋のリビングから見える景色の邪魔にならないこと」。
白山を中心とした山々は四季を通して美しく、その風景を楽しみながら暮らす心地良さは、何にも代えがたい宝物なのだ。
そこでTさんは、庭の端にあったテラスを解体し、基礎を利用して小屋を建てることにした。
庭の稙物と調和させるため自然素材にこだわり、外壁には焼杉を使用。
5年経ち、良い具合に炭が落ちて周囲になじんできた。
小屋とデッキの周りを、木々の緑と花が彩る。
庭は奥さまの手入れによるものだ。
一方、Tさんは隣の畑で、さまざまな野菜を育てている。
この日、流しソーメンの準備がされていた。
本物の竹を割ってつないだ本格的な流しソーメンで、30年前から続いている恒例行事だという。
子育てや仕事で忙しい中でも、家族で楽しむことを続けてきたTさん夫妻。
さらに小屋ができたことで、暮らしの中に「楽しいこと」がたくさん生まれるようになった。
五泉市 T氏邸 House data
家族構成 | 夫婦 |
敷地面積 | 394m2(119.18坪) |
延床面積 | 21m2(6.35坪) |
竣工年月 | 2015年10月 |
工法 | 木造軸組工法 |
基礎 | 布基礎 |
断熱材 | グラスウール充填断熱 |
外装仕上 | 屋根:ガルバリウム鋼板/外壁:焼杉 |
内装仕上 | 床:チーク 無垢フローリング/壁:クロス/天井:クロス |
開口部 | 窓:複合サッシ |
取材協力 | 塚野建築設計事務所 |