転職直後の住宅ローンは可能?成功のポイントを解説
近年、転職が一般的になり、転職後1年未満の方の住宅購入相談が増えています。
以前に比べ、転職に対するネガティブなイメージは相当減っていますよね。
私自身も複数の転職経験がありますが、その当時は周囲からも色々な言葉を投げかけられました。
でも、あの時に行動していなかったら、理想としていたこの仕事には絶対にたどり着けなかったでしょう。
人生は限られています。会社や上司に対して、もし「もっとこうしたい!」という思いがあれば、思い切って提案してみるのもアリな世の中になりましたね。
でも、もしそれがうまくいかなかったら…転職を積極的に考えても良いと思っています。
他人を変えることは難しいですが、自分自身が変わることは可能です。
だから私は、転職を考えている人を応援しています。
私の会社ではないですが、私自身もときどき面接をすることがあります。
その際、残念ながら多くの人が書類選考で不採用になってしまいます。
採用側が注目するポイントは、学歴や経歴よりも、
✅社会で学び、経験したこと
✅新しい職場でどのように貢献できるか
という点です。
上記の内容がいかに具体的に書いてあるかが非常に重要です。
よりストレートに置き換えると、「この人は会社に役立ちそうか?」ということしか見られていません。
転職理由に「職場環境が合わなかった」「雇用条件で決裂した」と書いている人もいますが、それではなかなか採用されづらいと思います。
もしそれが事実だったとしても、ネガティブな理由は見せずに
✅新しい職場でどのように貢献し
✅自身の強みを生かすことができるか
を伝えられるか、アピールできるかが重要です。
仮に経験がなかったとしても、「今勉強している」「これからこう学んでいく」「教えてください」でも良いのです。
大切なのは、一緒に働いていて楽しい、前向きな気持ちになれる。そんなポジティブな人を会社は求めています。
そのため、顔写真の印象も重要で、しっかりとした写真を用意するだけで、結果に差が出ることもあります。
上記のような履歴書や職務経歴書を書いてくる人は意外にそう多くいないので、それができるだけでも転職活動を有利に進めることができます。
大切なことは、
✅形式的な自己PRではなく、相手が求めていることを予測してPRする
これができると、良い結果につながると思っています。
とはいえ「相手が求めていることがわからないし、今は応えられる自信もない」ということもあるかもしれません。
そんなときは、「こういう理由でお金を稼ぎたくて、自分の時間を会社のためにこれだけ集中して使えます」といった内容を伝える方が選ばれる可能性が高いでしょう。
要するに、会社は明確な目的を持った人材を求めているのです。
仕事の収入とライフプランは切っても切れない、とても密接な関係です。
豊かな人生を送るためには「仕事に就く力」を身につけることが重要で、しかもそれは若いときほど効果を発揮すると私は考えています。
前置きが長くなりましたが、ここから今回の本題です。
それは「転職後、どれくらい待てば住宅ローンを組むことができるのか?」という疑問です。
最低1年でしょうか?それとも3年?なかなか想像がつかないですよね。
実際の答えは、転職後の給与明細が1カ月でもあれば、審査は可能です。
「転職後の住宅ローンは、そんなに早く進められるのか」と意外に感じる方もいると思います。
希望の借入額の審査が通るかは別の話ですが、審査の受付自体は可能です。
さまざまな状況の方を対象に受け付けている「フラット35」という住宅金融支援機構の住宅ローンもあります。
「フラット35」は全期間固定金利の住宅ローンということで、家づくりを検討している人は、一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
その「フラット35」であれば、ルール上は「転職後に1カ月以上勤務した給与明細」さえあれば審査に挑むことができます。
では、銀行で住宅ローンを組む場合はどうでしょう。
銀行よって対応はケースバイケースではあります。
ただ「同業種への転職で収入がアップした」場合は、すぐに住宅ローン審査に応じてくれる銀行もあります。
そうでない場合、多くの銀行では「1年以上の安定した収入を証明する」ことが審査の基本になります。
例として、第四北越銀行の住宅ローンのルールを見てみましょう。
「勤続年数1年(営業年数2年)以上、原則年収200万円以上で継続して安定した収入が見込まれるかた。」※1
という記載があります。
また、特に土地探しから家づくりを始めている方。
希望に見合う土地が見つかるかどうかは、出合いの要素が非常に大きいです。
もし良い土地と出合えたら、転職から1年が経っていないタイミングだったとしても、住宅ローン自体は早めに相談しておくのも良いでしょう。
上記でご紹介したフラット35の場合、勤続1年未満の場合の転職後の年収を「みなし年収」として以下のように計算※2しています。
たとえば2024年4月に転職をした場合。
転職後の2024年4~7月の給料の額面(=総支給額)がそれぞれ30万円だったとします。
その場合、「みなし年収」を
30万円×12か月=360万円
として、住宅をローン審査に挑むことが可能です。
そのうえで、カーローンなど他に借入がない場合は約2,700万円までは住宅ローンを組める可能性があります。
借入額が2,700万円で収まるようであれば、「転職後1年」を待つ必要は特にありません。
また、ボーナス月を追加で設けるとどうなるでしょうか。
既に受け取ったボーナスは、みなし年収に加算することができます。
仮にボーナスを6月に45万円受け取った場合、先ほどの「みなし年収360万円」にボーナス分を加算し、みなし年収が360万円+45万円=405万円となります。
年収が上がる分、借入可能額も約2,700万円→約3,600万円まで上昇します。
ここまで組むことができれば、1年を待つ必要もなくなります。
みなし年収が400万円を超えてくると、借入可能額が上がり、住宅購入の選択肢も広がります。
そのため、転職後に住宅ローンを組む場合、ボーナスをもらってからローン審査をすると、ボーナス分を加算したみなし年収となるため、その分借入額を大きく引き上げることができるようになります。
実際に受け取ったボーナスの金額が基準となるため、「住宅ローン審査はボーナスを受け取ってから」というのをひとつの目安にするのも良いでしょう。
転職後の住宅ローンについては、1年未満でも
✅銀行の場合、年収が上がる転職であれば相談可能
✅フラット35の場合、みなし年収で審査可能
ということで解説してきました。
では、転職前に住宅ローンを組む場合はどうでしょうか。
こちらは当然ながら現時点における年収での審査になるため、特に問題はありません。
一方で、最も良くない住宅ローンのタイミングは「転職またぎ」の期間です。
転職またぎとは、家を建てている途中に転職をすることです。
これだけは絶対に避けるようにしましょう。
(私自身も家を建てている最中に転職活動をして、内定をもらった経験があります)
では、家を建てている途中に転職をするとどうなってしまうのでしょうか。
住宅ローン審査の基準はあくまでも審査時点での職業・収入です。
つまり、転職して職業や年収が変わる場合、それまで行っていた審査が無効となり、再審査が必要となってしまいます。
そうなると、金融機関としても非常に困ってしまいます。
特に年収が大きく減少するような転職の場合は、お金を貸すということも難しくなってしまいます。
年収が上がる「ステップアップ転職」として金融機関にも認められれば良いですが、もしNGだった場合はどうすることもできなくなってしまいます。
既に住宅の工事が始まり、返済義務も発生している状態。
そのタイミングで「やっぱりそのお金は払えません!」となれば、契約違反となります。
あなた自身が困ってしまうのはもちろんですが、住宅会社や金融機関など、家づくりに携わるさまざまな関係者にも多大なる迷惑をかけてしまうことになるのです。
なので、「転職またぎ」での住宅ローン審査は絶対にしないようにしましょう。
家を建てている途中に転職の内定が出てしまったら?
もし家を建てている途中に内定が出た場合、転職(=内定先での入社初日)するタイミングは、家が完成するまで内定先の企業に待ってもらうようにしましょう。
金融機関側のルール上、本来は上記のような対応は難しいですが、途中で住宅ローン審査が覆るよりはずっと良いので、多くの場合で認められるはずです。
ただし、「家が完成するまで転職をしない」ということは、家の完成時期が遅れるほど入社するタイミングも先送りになってしまうことを意味します。
そこまで自己都合で進めてしまうと、転職先の企業に対してもプラスの印象を与えることが難しくなってしまいますよね。
いかがでしたでしょうか。
転職と住宅ローンとの関係性や両立するための方法について解説しました。
転職後であっても、今回ご紹介した準備をすることができれば、住宅ローンを組むことは十分可能です。
転職と住宅ローンを両立するためのポイントは、
①新しい職場での安定した収入を証明できること
②転職と家づくりのタイミングをしっかりと管理すること(「転職またぎ」はNG!)
の2点です。
上記を踏まえ、焦らずじっくりと計画を立てて進めていきましょう。
この記事が、転職を考えている方や、転職直後に住宅ローンを考えている方の参考になれば幸いです。
あなたの人生の新たな一歩を応援しています。
※1 第四北越銀行「住宅ローン」
※2 住宅金融支援機構「金利情報」および「ローンシミュレーション」より、【フラット35】の「融資率9割超」かつ「最も多い金利(2024年8月)」年1.960%を適用
~新潟住まいのお金相談室ブログ「転職してすぐでも住宅ローンは組めるのか?」より~