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すまい

歴史ある建物とモロッコ 異なる文化が融合する家

新潟日報sumica編集部

新しい2世帯のかたち

中庭から光が差し込むLDK。

「モロッコブルー、木の質感、ホワイトでまとめました」と奥さまが話すように、梁や大黒柱にパインの床、造作キッチンカウンターと型ガラスを使った食器棚などが雰囲気をつくる。

キッチンタイルはモロッコ製。食器棚の上にもかわいい雑貨がいっぱい

旅で見つけたお気に入りやアンティーク。二人の好きな世界観を表現

奥さまの地元で結婚生活をスタートさせたSさん夫妻。

奥さまの実家は1824(文政7)年創業、店舗と住居が一体となった建物で、古い町屋建築の登録有形文化財。

その敷地内に夫妻の家を新築することにした。外観は実家と並んだときに一体感を感じさせる、杉板張りの外壁と安田瓦が提案された。

実家の町屋空間は通り土間といって土間に沿って店、茶の間、板の間が並んでいる。茶の間は江戸期に建てられた既存のまま。土蔵との間に坪庭が設けられている。茶の間は打ち合わせや会議、来客時にも利用
通り土間に設けた手洗いは社員も利用する。「日本家屋にはモロッコをはじめ、海外の伝統的な調度品が合います」と奥さま

1階LDKは、太い梁が連なる天井や、実家の土蔵に使われていた棟木を再利用した大黒柱、造作キッチンや食器棚など、木を使い温かみのある雰囲気に。

リビングからダイニングキッチンを見る。壁にはめ込んだ型ガラスから光を取り込む
ニッチにスパイスを収納

奥さまが集めた国内外のアイテムがセンスあふれる空間に。

白いタイルの洗面台にもモロッコの雑貨を
壁面にタイの額付きミラー

2階寝室とラバトリーはモロッコのホテルライクなリゾート感を目指した。

2階寝室は勾配屋根の高い天井がぜいたくな空間。椅子に座って中庭を眺められる
外国のホテルのような2階ラバトリーと浴室の壁。マラケシュカラーのピンクをイメージしたモールテックス特注色

中庭を介してS氏邸のリビングと実家のリビングダイニングがつながる。

中庭に面していた座敷をリビングダイニングに。中庭の先にS氏邸リビングがある。座敷の竿縁天井や書院、欄間は既存のまま残し、床の間をテレビスペースとして活用。「古い建物の雰囲気を生かし、すてきになってうれしいです」と奥さまの母のAさんも大満足
玄関は実家の建具を再利用

昨年リフォームした実家は、既存を生かし、構造を補強。寒さと暗さを解消した。

伝統的な日本家屋にアフリカの布やモロッコの照明などをあしらい、さらに魅力的な空間に生まれ変わった。

鮮やかなモロッコブルーの布で裏口ドアを隠す。左の棚は実家で祖母が使っていたもの
ペンダントライトはトルコ製。照明と布、雑貨でインテリアを楽しむ

「子どもが気軽に行き来できるのがうれしい。

将来的にリビング裏口から横に建つ土蔵をつなげることも考えています。

暮らしていく中で、家もインテリアも、ゆっくり育てていきたい」と奥さま。歴史ある建物とともに、時間を重ねていく。

変形流木を階段の手すりに使用

胎内市 S氏邸 House data

家族構成夫婦+子ども1人
敷地面積207.34m2(62.72坪)
延床面積163.94m2(49.59坪)/1階84.1m2(25.44坪)/2階79.85m2(24.15坪)
竣工年月2018年12月
工法木造軸組工法
基礎布基礎
断熱材床:フェノールフォーム/天井:アイリーン/壁:ロックウール
外装仕上屋根:安田瓦葺き 一部ガルバリウム鋼板横葺き/外壁:杉下見板 一部ガルバリウム鋼板角波
内装仕上床:シリアンパインフローリング 一部パインフローリング/壁:塗装仕上げ 一部モールテックス/天井:躯体表しOS塗装 一部塗装仕上げ
設備キッチン:オリジナル/バス:TOTO/トイレ:TOTO
開口部窓:リクシル/ドア:オリジナル
取材協力伊藤純一アトリエ

 

実家

家族構成夫婦
物件情報築120年
延床面積(リフォーム前)152.17m2(46.03坪)
リフォーム面積111.29m2(33.67坪)
竣工年月2020年5月
設計期間36カ月
工事期間8カ月
内装仕上床:床暖対応フローリング/壁:塗装仕上げ/天井:塗装仕上げ 一部既存
設備キッチン:オリジナル/バス:トクラスUB/トイレ:TOTO
開口部窓:リクシル 一部既存建具/ドア:オリジナル
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