【急増中!】実家の土地に家を建てる際のメリット・デメリットを徹底解説
近年、住宅や不動産価格の高騰により、家を建てるための金銭的なハードルが上がりつつあります。
このような状況の中で、
「今あるものをなるべく活用して家づくりを進めたい」
という相談の声を多く聞くようになりました。
土地も家も、全てを一から入手するのはコストがかかりすぎる!
であれば、限りある予算をどちらかに効率よく分配しよう、というわけです。
具体的には、以下の2パターンが挙げられます。
①親や親戚の敷地内に、コンパクトな新築住宅を建てる
②現在住んでいる家や中古物件を購入した後にリフォームする
特に新潟ではよくあるケースが、①「親や親戚の敷地内での新築計画」です。
夫婦どちらかの実家が所有する敷地内に新しく家を建てる形、敷地内同居とも呼ばれるパターンです。
本記事では、実家の敷地内に家を建てる際のメリットとデメリットについて詳しく解説していきます。
また私自身、親の敷地内ではありませんが、実家の隣の土地を購入して家を建てました。
そのため、金銭面以外のリアルな部分についてもお伝えしていこうと思います。
実家の土地に家を建てるメリット
まずは、実家の土地に家を建てる際のメリットについて順番にご紹介します。
費用面はもちろんですが、それ以外にも人間関係や生活面、育児面でも恩恵を受けることができます。
【メリット①】土地代の節約
新たに土地を購入する必要がない。
これは資金面でみるとやはり圧倒的なメリットです。
実家の土地を活かすことができれば、単純計算でも数百万円から数千万円の土地購入費用を節約することができます。
その結果、
✅住宅ローンの返済額が少なくて済む
✅家の建築費や設備に、より多くの資金を充てることができる
等のメリットがあります。
【メリット②】コストの分担
インフラ(電気、ガス、水道など)の引き込みや共有設備(道路やフェンスなど)の設置費用を親と分担することで、諸費用を削減することができます。
ただし状況によっては、水道の水圧が弱くなったり、光熱費の請求が親世帯と一括で来るなど、管理面でのデメリットが発生する場合も。
家を建てる前に専門家の意見を聞きつつ、親ともよく話し合って検討するようにしましょう。
また、親が所有する土地を利用する際は、贈与税など税金の支払いを避けるために生前贈与は行わないケースが多いです。
その場合、親は土地の所有者のまま銀行の保証人となり、子世帯は住宅ローンを組むことになります。
【メリット③】生活費の節約
親の近くに住むと、食費などの生活費を分担できることがあります。
たとえば、
✅食事を一緒にする機会が増える
✅食事をシェアしてもらえる
などがあります。
親が隣に住んでいる我が家でも、「安くてお得だけど食べきれない!」というような生鮮食品を買って、シェアして食べることもよくあります。
【メリット④】安心感の向上
親が近くにいることで、緊急時や困ったときにお互いに助けを求めやすくなり、日々の生活に安心感が得られます。
たとえば、どちらかが旅行で長期間家を留守にする場合。
親が近くに住んでいれば、郵便物の管理などのお願いもしやすいです。
後述しますが、子育て中の場合は親のサポートを受けやすくなります。
また、親の近くに住んでいることで、親の健康状態を常に見守ることができます。
急なアクシデントや将来介護が必要になった際にも迅速に対応が可能です。
「親の介護が必要になったら同居を考えている」というご家庭も多いかもしれません。
親と同居している状況では、住環境が変わることで何かと問題が生じやすいです。
しかし、近くに住んでいればお互いの住まいを変えることなくサポートすることができます。
「いざとなったら隣を頼れる」
そう思えることは、余計な悩みをひとつ抱えずに済んでいると感じます。
【メリット⑤】地域とのつながり
長年親が住んでいる地域に家を建てる。
それはつまり夫婦どちらかの実家=育った環境でもあります。
そのため、土地だけでなく人間関係など、近隣の様子がよくわかるというのも大きなメリットです。
地域コミュニティへの予備知識がある場合、隣人リスクなどのご近所トラブルが軽減されます。
また、親が長年築いてきた地域コミュニティがあるおかげで近隣情報を把握しやすいため、新しい場所に引っ越す際の不安や悩みも軽減されますよ。
【メリット⑥】子育て環境の充実
私自身の経験から、子ども世代にとって、祖父母の近くで暮らすことは良い影響があると感じています。
祖父母と孫との距離が近いことで、ちょっとした家族行事やコミュニケーションが増えます。
その結果、家族間の絆が深まるだけでなく、親が忙しいときには祖父母がサポートしてくれることも。
特に子どもが幼少期の頃は、大人の手と目がいくらあっても足りないと感じていたので、おおいに恩恵を感じていました。
子どもにとっても、家以外に自分の居場所があることで、情緒が安定しやすくなります。
また、子育て世代としても、親の近くに住むことで、子どもに対する日常的なサポートを受けやすくなります。
✅子ども園や学校などの送迎
✅仕事や買い物が終わるまで、実家で面倒を見てもらう
など、特に共働き家庭の場合、子どものサポートを実家に依頼しやすい傾向にあります。
…以上のように、敷地内同居には多くのメリットがあります。
あなたがもし実家の土地を活用できる状況にあるなら、「実家の土地に家を建てる」という選択肢を前向きに検討しても良いと思います。
実家の土地に家を建てるデメリット
敷地内同居は、メリットがある反面もちろんデメリットもあります。
これからご紹介するメリットを避けられそうか、対応できそうかを事前に十分に検討しましょう。
そしてそれを、夫婦間はもちろん親子間でも共有・相談しておくことが成功のカギとなるはずです。
【デメリット①】プライバシー確保が難しい
敷地内同居の代表的なデメリットとして、プライバシーの問題があります。
親の近くに住むことで、どうしてもお互いの生活に干渉しやすくなります。
✅親がアポなしで何度も訪ねてくる
✅自分たちの方が親の生活に干渉しすぎてしまう
そのような「過干渉」が続くと、それぞれ独立した生活が送るのが難しくなってしまいます。
ちなみに我が家の場合は、お互いのライフスタイルには干渉しないようにしています。
その結果、上述したメリットのような、かなり良い関係性が築けていると感じています。
【デメリット②】親との関係性悪化
親の近くに住むことで、些細な出来事や価値観の違いが原因のトラブルが発生しやすくなります。
例えば、育児方針の違いや孫への接し方。
そして生活リズムの違い(朝型と夜型が並んで生活していたら、お互いに気を使いますよね)。
一つ一つは些細なことだったとしても、それらが積み重なると、親との大きな対立に発展することがあります。
既に親との関係性に不安がある方は、そもそも敷地内同居の話にならないと思いますが、基本的には避けた方が良いでしょう。
【デメリット③】新築計画に制約が生まれる
実家の敷地内に新築住宅を建てる際、法律による制限を受けることがあります。
土地の広さや形状によっては、希望する規模の家が建てられないことがあるので注意しましょう。
特に、
✅希望サイズよりも小さい家しか建てられない
✅駐車スペースが取れない
✅親の家の日当たりを遮る
などの制約がある場合は、お互いがストレスを抱えてしまいます。
慎重な計画と確認が必要不可欠です。
【デメリット④】相続時トラブルの可能性
兄弟姉妹がいる場合は特に注意が必要です。
将来親が亡くなったときに、相続に関するトラブルが発生する可能性があるためです。
自分たちとしては、
「親の近くでずっと面倒も見ていた」
と思っていても、他の兄弟からは
「経済的にこれまで相当援助をしてもらっていたのでは?」
と思われているかもしれません。
こうなってしまうと、兄弟間での関係性がギスギスしてしまいますよね…。
特に、敷地の一部を利用している場合、遺産分割の際に問題が生じることがあります。
後々トラブルにならないように、あらかじめ兄弟とはよく話し合っておきましょう。
また、もし兄弟間の仲が元々良くないという場合には、計画自体を慎重に進めるべきです。
【デメリット⑤】資産の分散ができない
実家の敷地内に新築住宅を建てることで、資産が一箇所に集中することになります。
すると資産の多様化が図れずに、リスク分散が難しくなることがあります。
たとえば自然災害の被害にあった場合。
家が隣同士なら、どちらも大きなダメージを受けることが予想されますよね。
また、将来的に実家や自宅を売りに出そうとした場合、近すぎる距離がネックになるかもしれません。
身内ではない人が非常に近い距離に住む。
そのことは買い手にとっては購入をためらう要因になりますし、売り手であるあなたにとっても抵抗感が生まれやすくなります。
その結果、不動産として処分しにくくなってしまう傾向があります。
【デメリット⑥】税金の把握が難しい
親の土地を利用することで、贈与税や相続税にまつわる問題が発生する可能性があります。
たとえば、親から土地を贈与される際には贈与税がかかる場合があります。
また、相続時には相続税の計算が複雑になることがあります。
特に贈与の場合は税率が高いので注意が必要です。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
実家の土地に家を建てることのメリット・デメリットについてご紹介しました。
成功の秘訣は、以下の2つです。
①メリットとデメリットを比較したうえで、メリットの方が多いこと
②お互いの生活スタイルに干渉しないスタンス
そして私自身は、すでに実家の隣に家を建てていることもあり、基本的には肯定派です。
土地や建物の価格が高騰する中、今あるものを活用する機会がある。
これは子世代からしたらラッキーです。
しかし、金銭的な理由だけで安易に決めるのは禁物。
今回ご紹介した内容を事前にじっくりと検討することが、理想の住まいを叶えるポイントになります。
~新潟住まいのお金相談室ブログ「【急増中】実家敷地内の新築計画メリット・デメリット」より~