【変動金利の住宅ローン】2種類のタイプに注意
変動金利の金利競争が止まりません。
固定金利が上昇したこともあり、変動金利を選ぶ人が急増中。
金融機関もここぞとばかりに魅力的な変動金利商品をリリースし、一生懸命お客さんの獲得に努めています。
とはいえ変動金利もひとくくりに語ることはできず、簡単に比較検討できないのです。
今回は二つの変動金利の違いや、比較についてお話していきます。
住宅ローン選択は比較サイトで充分?
ところで、最近は比較サイトで住宅ローンを調べる方が多いようですね。
よく見られているサイトで上位に君臨するのは0.3%台の変動金利。
確かによくできているサイトです。
「変動金利が上がらない可能性が高い!」という専門家の見解もあって安心感を与え、とても魅力的に映るはずです。
しかし個人的には将来の金利観は専門家任せではなく、自身で考えるべきだと思っています。
というよりも、考えても「正解」は分からないものなんです。
なので、もし金利が上がってもローンを確実に返せるのか? を考えるべきといえます。
そのうえで、ベストなローンを考える。
簡潔に言えば実際には変動金利で借りる場合も、固定金利でも返せそうか?をシミュレーションする。
これに尽きます。
たとえば3000万円の借入の月々返済額を2023年5月の金利で比較してみましょう。
…この数字だけ必ず確認しておいてくださいね。今後このくらい返済する可能性もある、と知っておいていただきたいんです。
変動金利でローンを組むにしても、ぜひ一度この固定金利でシミュレーションはしておいてください。
いくら返すことになるのかを、数字として目視しておいてほしいのです。
変動金利には2種類のタイプがあります
さて、今日は8割以上の方が申し込んでいる変動金利の話です。
変動金利の住宅ローンには実は2種類のタイプが存在します。
事務手数料型と、保証料型。この二つのローンは「諸費用の考え方」が違うのです。
一つずつ解説しますね。
「事務手数料型」変動金利とは
あなたがインターネットで見つける激安ローンのほとんどは事務手数料型です。
住宅ローンを組む時に、ほとんどの銀行で借入金額の2.2%(税込)の手数料がかかります。
3,000万円借りると、66万円。
この費用はローンを借りる最初にかかり、いわゆる掛け捨てです。
「保証料型」変動金利とは
インターネットのランキングにはあまり出てこない地場の金融機関。
新潟だと第四北越銀行・大光銀行・JAバンク・信用金庫・労働金庫このあたりはみんな保証料型です。
住宅ローンを組む時、あなたの信用状態によって保証料が発生します。
この保証料は借入額の1~3%前後が一般的です。
2%が一番多いのですが、人によっては2%以下になったりします。
例えば、3,000万円借りれば、保証料は30~90万円という具合です。
先ほどの事務手数料型との大きな違いは、人によって金額が異なるところ。
そして、繰り上げ返済をすると部分的に戻ってくるので掛け捨てではないところです。
ものすごくザックリ言うと、
35年で返すつもりのローンを約半分の17年で返した。
そうすると初めに支払った保証料の半分は戻ってくるようなイメージになります。
※保証料型の商品にも事務手数料も一応かかるのですが、新潟では一律55,000円が相場です。
低金利な事務手数料型 二つ目の弱点
金利が低いネット銀行の弱点は手数料が掛け捨てになること、というお話をしました。
実はもう一つ弱点があります。
それは、注文住宅を建てる場合はつなぎ融資が必要ということです。
つなぎ融資とは?
つなぎ融資とは、住宅ローンとは別にもう一つ組むローンのこと。
なぜもう一つ必要かというと、事務手数料型の銀行からお金が借りられるのは住宅完成時だから。
しかし注文住宅を建てる場合、大きな支払いは完成時だけではありません。
土地のお金、建物の着工金・中間金などを家ができる前に支払う必要があります。
※住宅業界では一般的に建物のお金は出来高払いで工事開始前、屋根完成、工事完了で3分割支払いします。
もちろんたいていの方は、この支払いを貯蓄等でまかなうことはできません。この支払いを立て替える必要があるので、住宅ローンとは別にローンを組まなければならないのです。
この立て替えローンをつなぎ融資といいます。
つなぎ融資にも、事務手数料や契約印紙代、そして割高な利息が発生します。
ざっくり30~50万円くらいの追加の諸費用がかかることが多いです。
当然ながらこれも掛け捨てです。
一見金利が低くてお得に感じる事務手数料型ですが、2度にわたり多額の掛け捨て費用が必要という点は注意が必要です。
保証料型のメリット
固定よりは低金利とはいえ、ネット銀行と比較すると少し高めの地元系金融機関。
ネット銀行に完敗かと言えば、そうでもなかったりします。
保証料型の銀行の場合は、あなたの信用でお金を貸してくれますので家ができる前にお金を手にできます。
土地を買うタイミングや、建物の工事を開始するタイミングで融資を受けられるのです。つまり、つなぎ融資が不要です。
先ほどのつなぎ融資のための諸費用が一切かかりません。
また、繰り上げ返済するごとに保証料が少しずつ戻ってくるという効果もあります。
保証料型の銀行で金利が安いところを探した方が、総合的な支払いでは有利になるケースもあるのです。
見た目の金利の安さだけでは比較にならない
住宅ローンはネット検索して、一番金利の低いところで申し込めばいい簡単なお仕事!
…残念ながらそうではありません。
住宅ローンは奥が深くて、簡単に比較できないのです。
あなたの資金計画や住宅取得計画によってネット系が有利になることもあるし、地元系が有利になることもある。
本当にケースバイケースです。
そもそも、最近新潟市で進んでいる大規模分譲地。
こちらについては、ネット銀行は融資NGだったりもします。
そんなの普通分からないですよね。
さらにローンにセットされる生命保険も銀行によって異なります。
結局家計のトータルコストで何が一番得なのかというのは、簡単には分からないようになっています。
それもそのはず、一発でそれが分かれば申し込みはそこに集中してしまいます。
いい具合に分かりにくくなっているというのは住宅ローンに限らず金融商品ではよくあること。
NISAもiDeCoもみんなそうですよね。
これらを紐解くには金融リテラシーが必要となります。
住宅ローンや金融商品は目先の安さや利益にとらわれず、長期的な視点で検討することが大切です。
~新潟住まいのお金相談室ブログ「変動金利の住宅ローン 2種類のタイプに注意」より~