
「雪国のエコハウスを再考するセミナー」イベントリポート~雪国型ZEH啓発セミナー~
2025年3月13日(木)に長岡市で、14日(金)に新潟市で、雪国型ZEH(ゼッチ)(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の普及啓発を目的に、先進的実務者と共にエコハウスについて考えるセミナーを開催しました。
雪国型ZEHとは…
多雪寒冷な新潟県の気候にあわせた、高断熱なZEHを「雪国型ZEH」として推奨しています。
夏は涼しく、冬は暖かく、年間を通して健康的に、快適に暮らせる、人にやさしい住宅です。
また、エネルギー使用量が削減されるため、地球にも家計にもやさしい住宅です。
本記事では、多くの住宅事業者が参加したセミナー当日の内容をピックアップしてご紹介します。

講師を務めるのは、岐阜・愛知・三重・滋賀を商圏に家づくりを手がける工務店・Livearth(リヴアース)の代表取締役社長・大橋利紀さんです。
大橋さんは、エコハウスの定義や目的を明確にし、未来の住宅のあり方についてお話しました。
特にエコハウスの3つの指針や、5つの視点について説明することで、参加者の皆さんに住宅設計の新たな方向性を提示しました。

まずは、「エコハウスの3つの指針」についてご紹介します。

続いて、「エコハウスの5つの視点」についてご紹介します。

また、大橋さんは「シン・エコハウス」に向けた具体的なアプローチを3つに分類し、性質に応じた技術や設計方針を示しました。

大橋さんは、2025年に始まる新しい省エネ基準や断熱等級についても言及しました。
新たな基準が義務化されることで、多くの住宅がエネルギー効率向上の方向に進むことが期待されます。
講演の後半では「エコハウス4.0」について言及し、一般化・普及が進む中での競争や差別化の難しさを指摘されました。
大橋さんは「全ての住宅がエコハウスになる社会を目指すべきだ」との考えを示しつつ、テクノロジーや設計方法を進化させる必要性を強調しました。
「単なる価格競争によって苦しい経営状況に陥ってしまうことを防ぐために、それぞれの住宅会社が独自の物語を持つ必要がある」と、大橋さんは話します。

ただ、「独自の物語」を持つためには、以下の3点が重要です。
大橋さんは、社会的な背景や市場の変化を理解し、それに対応していくことが住宅供給者に求められていることだと、講演を締めくくりました。
雪国新潟の地域性を踏まえたこれからの住まいづくりについて、県内の先進的なビルダーと共に深掘りする第2部。
初日の長岡会場と2日目の新潟会場に分けてご紹介します。

- (株)サトウ工務店 佐藤高志さん
三条市に拠点を置き、住宅性能を最高基準まで引き上げる施策を実践。住宅設計や他社へのコンサルティングも手掛けています。
- 八幡開発(株) 飯塚政雄さん
柏崎エコタウンの開発を進めており、全住宅が雪国型ZEH以上の性能を持つことを義務付けています。地域社会への貢献を重視。
- Livearth(リヴアース) 大橋利紀さん
エコハウスの推進に取り組む重要な講演者で、会場の皆様に多くの知見を提供しました。
- (株)新潟家守舎 小林紘大さん(ファシリテーター)
新潟で工務店のサポートを行い、記事執筆やセミナーも活動中。エコハウスに注力しています。

予算の壁や施工の難しさについて意見を交わしました。
佐藤さんは、予算の中で最大の恩恵が得られるような提案の重要性を指摘。
飯塚さんは、エコタウンというコンセプトで、地域のニーズに応じた住宅提供を目指しています。
大橋さんは、エコハウスにおける施工基準についての情報を共有し、顧客にその重要性を理解してもらうことが大切だと話します。
佐藤さんは、住宅の安全性や性能を重視し、大型パネル工法を推進していると説明しました。
飯塚さんは、新潟県の住宅設置基準が地域の住宅品質の向上に寄与することを強調し、エコタウンの事例を通じてその重要性を説明。
大橋さんは、「数字だけでなく、実際に価値を感じてもらうことが大事」と、住宅の暖かさを体感してもらうことの重要性を訴えました。

ここからは新潟会場のトークセッションの様子をお伝えします。

- 石田伸一建築事務所 石田伸一さん
「全ては未来と子供たちのために」というテーマのもと、建築と林業を結びつけた事業を展開しています。
- Livearth(リヴアース) 大橋利紀さん
- (株)新潟家守舎 小林紘大さん(ファシリテーター)
石田さんは、特に太陽光導入に関して"壁"を感じているとのこと。
標準仕様を明確にして、顧客にその理由を理解してもらうことが鍵となると述べました。
一方、大橋さんは施工の難易度を克服するためには、明確な物語を持ち、顧客と共感できるコミュニケーションが必要だと話します。

大橋さんは、エコハウスの理念を理解してもらうためには、完成見学会などの体験が重要で、訪問者に実際の快適さを体感してもらうことが効果的だと話しました。
石田さんも視覚的な要素を使った、体験重視の重要性を強調しました。
新潟県の新しい基準について、大橋さんがG1基準の導入の利益を説明しつつ、今後の方向性について意見を交わしました。
石田さんは、地域ごとの取り組みや基準設定の重要性について触れました。
東北電力(株)新潟支店の春日義和さんより、雪国型ZEHと相性のよいスマートライフ電化についての説明がありました。

2020年、当時の菅総理が「2050年カーボンニュートラル宣言」を行いました。
その後、新潟県としても「2050新潟カーボンゼロチャレンジ」を掲げ、新潟県の気候にあわせた高断熱な雪国型ZEHの普及を推進していく方針が示されました。
東北電力が推進する3つの取り組み

太陽光で昼間に発電した余剰電力を蓄電池に蓄えて夜間に利用することで、光熱費の軽減やCO2削減効果が大きく、経済性・環境性に優れていると強調しました。
なかでも注目のスマートライフ電化は「おひさまエコキュート」で、太陽光の力で昼間にお湯を沸かして利用できるため、太陽光発電を検討中の方にはおすすめとのことです。
また、電気料金プランについて、「おひさまエコキュート」や「オール電化」を対象とした料金プランを選択することで、電気料金コストの低減につながるという説明がありました。
「あおぞらチャージサービス」は、東北電力グループ企業による、初期費用0円で太陽光発電設備や蓄電池を設置できるサービスです。
毎月定額のサービス料金を支払うことで、太陽光で発電した電気が使い放題になります。
15年間の契約期間中はメンテナンス・故障対応が0円というのも魅力的です。
第1部の「基調講演」では、大橋さんよりエコハウスの新たな指針や具体的な提案が分かりやすく示され、地域性を考慮したアプローチが印象に残りました。
第2部の「地元ビルダー参加のトークセッション」では、実務者同士の意見交換が活発に行われ、今後の住宅業界に役立つアイデアがたくさん得られました。
第3部の「安心・快適・エコな脱炭素の家づくり」では、家計に優しくエコハウスの実現に最適な住宅設備が紹介されました。
参加者からは、
「エコハウスが今後一般化すると、それ自体は差別化の要因にはならず、自社ならではの特徴が必要だということがわかった」
「トークセッションで、地元ビルダーの生の声を聞くことができてよかった」
「エンドユーザーに対して、まずはエコハウスを体感してもらうことが重要だということを知った」
といった声が多く寄せられました。