【リノベーション】築100年の面影を残しつつ快適さを求めて
築100年の面影を残しつつ快適さを求めて
猫たちと一緒にゆったりと暮らす 木のぬくもりが満ちる空間
東京暮らしだったご夫妻がUターンしたのは23年前。
二人目のお子さんが生まれるのを機に、「そろそろ田舎暮らしもいいのではないか」と思い切った。
現在の住居は奥さまのお父さまの実家で、広い敷地にどっしりと構える重厚な古民家。
「100年ほど前に移築された家で、元々あった家も既に100年くらい経っていたかも」と、奥さまが説明する。
リノベーションで生まれ変わったリビングは、将来を見据えたお二人のための部屋。
昭和初期に増築された部分で、以前は畳敷きの和室で寝室に使っていたが、納戸だった2階を寝室にし、こちらを暮らしの中心となるくつろぐための空間にした。
「以前は隙間風もあり、冬がとても寒くて。暖かい部屋にしたかった」とMさん。
「リノベーションを決めたもう一つの理由は、猫を飼い始めて畳がボロボロになったんです。木のぬくもりが好きなので、無垢材にもこだわりました」
大切な家族である5匹の猫と共に過ごす。
「昔の面影を残したいので、あえて見せてほしい」と願った大きな梁の上を、猫たちが自由に行き来する。
キャットタワー以外は猫仕様にせず、既存のまま残る部屋を猫の食事スペースやトイレに利用している。
印象的な正面の置き壁に棚を付け、猫が上下に行き来できるよう工夫を凝らした。
「私たちにとっても猫たちにとってもストレスのない、心地よく暮らせる部屋です」と、お二人は満足そうに笑顔を見せた。
家族の歴史を物語るものはそのままに 内装や収納アイデアで新しく
さまざまな雑誌を見る中で、「これは私たちの家に合っている!」と思ったのが、『sumica』で見つけた家だった。
「古いものをうまく生かしていて、古民家の雰囲気が残る落ち着いたリノベーションの家でした」と奥さま。
さっそく建築事務所を調べて相談をした。
「なにせ古い家なので、暖かく過ごすために内窓を付けてもらったのが最初でした」。
さらに玄関の扉を替え、玄関前にある土蔵の外壁を修繕した。
リノベーションの対象としたのは、基本的にはMさん家族が暮らしてきたスペースだ。
お父さまがリフォームしたキッチンは、できるだけ既存のまま残し、隣の納戸の押し入れを改造して食品庫にした。
紺色の内壁がモダンで美しい。ライトシェードはお父さまが選んだものに、奥さまが選んだものが新しく加わった。
Mさんが感心したのは、最近転居したお子さんの部屋のデザイン。
床から壁、天井まで同じ材料を使い、天井の勾配を生かした個性的な部屋に仕上がった。
さてリビングに戻ってみよう。
和室だった頃の押し入れはオープンな収納スペースになり、おばあさまが使っていた古いたんすが置かれている。
柱に飾られた装飾は、イタリアの教会の入り口に付けられていた骨董のベル。
これらが違和感なくなじんでいるのも、古いものがうまく生かされた空間ならではだろう。
5匹の猫たちが自由に遊ぶ姿を見ながら、また、コケが美しい庭を眺めながら、ソファでくつろぐお二人。
「至福の時間をゆっくりと楽しんでいきたい」と語った。
新発田市 M氏邸 Renovation Data
家族構成 | 夫婦+猫5匹 |
延床面積 | 300m2(90.75坪)/1階196m2(59.29坪)/2階104m2(31.46坪) |
リフォーム面積 | 134.54m2(40.70坪)※土蔵壁改修除く |
竣工年月 | 2019年7月 |
設計期間 | 2カ月 |
工事期間 | 3カ月 |
内装 | 床:1階リビング/オーク 2階寝室/杉 壁:珪藻土クロス 天井:珪藻土クロス |
設備 | キッチン:既存/バス:既存 ※天井・壁リフォーム/トイレ:既存 |
開口部 | 窓:APW330、プラマード/ドア:オリジナル |
取材協力 | is more (株)傳平商店 |